~第9話:ライバルふたたび別れの危機!?①~  by 白金総司





総司さんとの結婚生活にも慣れて、少しずつ妻としての自覚も芽生えてきた

はじめは契約から始まった結婚だったけど、これから先も、総司さんを支えていきたいという気持ちが強くて……

私を選んでくれた総司さんのためにも、なんとか総司さんに後継者になってほしいと、思うようになっていた


「今日は残業もなかったし、帰ってご飯支度を…」


会社を出るとすぐ、携帯の着信音がバッグから聞こえる

慌てて取り出してみると、総司さんからだった


「もしもし、総司さん?」


「今どこだ?」


「仕事が終わって、会社を出たところです」


「それなら近いな、そのまま最寄駅まで歩け」


「え?」


「連れて行きたいところがある、俺も車で駅に向うからちょうどいい」


「わかりました、じゃあ、駅の前で待ってますね」


総司さんと駅前で合流すると、そのまま香坂さんの運転で車は街中を走った



「ここ…バーですか?」


「ああ、俺の親友がやってる店だ」



①紹介してくれるんですか?(3UP)

②友達、いるんですね

③仲いいんですか?(5UP)



「親友って…その人と、仲いいんですか?」


「仲がよくなければ親友とは言わないだろう」


「でも今まで総司さんの口から、友達のことなんて聞いたことがなかったので…」


「大学時代の友達だ、正反対の性格だが、なぜか気が合う」


(総司さんの親友…)


「では、後ほどお迎えにあがります」


「ああ」


(総司さんの親友…どんな人なんだろう?)


店の前で香坂さんと別れ、私は総司さんに伴われて店の中に入った



お店の中は薄暗く、それが上品な雰囲気を与えていた


総司さんがカウンター席に座り、私も隣につく


「お、めずらしい顔がいるな」


「久しぶりだな、志信」


「それはこっちのセリフだ、だいぶご無沙汰だっただろ」


「色々あってな…」


総司さんに声をかけてきたのは、見惚れてしまうような、けれど意志の強そうな雰囲気の男性だった

お店の雰囲気のせいか、なんとなく、目が合うと少しだけ怖い気がしてしまう

それでも、目をそらすのは失礼だと思ってなんとか笑顔を作った


「は、初めまして」


「総司が女の子を連れてくるなんてめずらしい…っつーか、初めてじゃないか?」


「俺の妻だ」


「妻!?」


「あの、○○…じゃない、白金マリアです」


「俺は、有馬志信、総司とは大学で知り合ったんだ」

「それにしても、お前が結婚?……ピンとこない…」


「俺はそうでもない」


「さっそく ノロケかよ」


総司さんは有馬さんと話す時、本当に心を許しているような笑顔を見せた

心から信頼し、仲がいいのだとわかる


(いいなあ、私にも…あんなふうに笑ってくれてるのかな? 自分じゃわからないけど…)


「俺に見せつけるために連れてきたのか?」


「まあ、それもある」


「それも? 他にも何かあるって口ぶりだな?」


「まあ……」


なんとなく、総司さんが言い淀んでいるように見える

言いにくそうな表情に、ハッと席を立とうとした


「あの、私ちょっとお手洗いに…」


「いや、別にお前がいるから話しにくいわけじゃない」


「え?」


「へえ、ずいぶん気がつくんだな、マリアちゃんは…」


「いえ・・・」








イケない契約結婚   (C)Arithmetic