~第8話:近づくふたり②~  by 白金総司






「きゃあ!」


ボタンがはじけ飛び、胸があらわになる


「な、何……するの…」


「こうすりゃ、おとなしくなるだろ?」

「自分の女が他の男のものになったって知ったら…白金総司はどうするだろうな?」


「嫌! やめて…!」


男に触られたところが気持ち悪い…

ざわざわと鳥肌が立つようだった

どんなに抵抗しても、男の手は止まる気配がなく……スカートの中に入ってくる


「いやあ! 総司さんじゃなきゃ嫌!」


「なあ…そうやって必死に拒否してるっつうのも、余計にこっちを煽ってるって知らないのか…?」


太腿をさすられて、涙がにじんだ

ここでこの人に襲われたら……

私は今後、どれだけ総司さんに迷惑をかけるんだろう


(誘拐されて、襲われて…… 失踪扱いになったら7年離婚できない…)

(これ以上、総司さんの重荷になるのは嫌だ!)



①総司の名前を呼ぶ

②大声を出す

③あきらめて受け入れる(5UP)



(今我慢すれば…少なくとも殺されることはない)

(私が総司さんに言わなければ…襲われたこともわからない)


涙が頬を伝ったけど、ギュッと目を閉じて覚悟を決めた



その時、突然車のフロントガラスに強い衝撃が走った

ガシャン!!と音がして、ガラスが割れる


「きゃああ!」


「な、なんだ!?」


「マリア!」


「総司さん!?」


突然のことに、男が逃げ出そうと後部座席のドアを開けた

でも、それを狙っていたかのように、総司さんがすかさず男の腕を引っ張って引きずりおろす


「うわあああ!」


「貴様…よくもマリアを!」


外で、総司さんが男を殴っているような音が聞こえた

そして、それを止めるような香坂さんの声…


私は呆然と、身体を動かすことができないままそれを聞いていた


「マリア…無事か!」


ドアが開いて、総司さんの手が伸びる

こちらに手を差し伸べている総司さんを見た瞬間、涙が流れた


総司さんが車の中まで入ってきて、私を拘束している縄を解いてくれる


「そ、総司さん、どうして……」


「マリア…大丈夫だったか」


強く、強く抱きしめられた



①もう大丈夫です

②もっと抱きしめてください(5UP)

③心配かけてすみません



「総司さん…もっと強く抱きしめてください…」


「マリア…」


息ができないほどの腕の力で抱きしめられて…それでも私は幸せだった








イケない契約結婚  (C)Arithmetic