~第7話:誘拐、夫婦の絆②~ by 白金総司
「おじさん達、ダメだよ そんなナンパしちゃ」
「なんだ? このガキ…」
「ナンパはもっと上手にやらなきゃ…」
「それに、お姉さん困ってるよね? 警察呼んでもいいけど?」
「ちっ…めんどくせーな」
「酔いも醒めたわ、行こうぜ」
2人が憎々しげに言って去っていく
私の肩をつかんで助けてくれたのは、まだ幼さの残る、でも見惚れるような顔立ちの男の子だった
「あの、助けてくれてありがとう」
「いいえ、酔っ払いには気をつけて!」
「うん、この時間、あまりここら辺通らないから…危ないんだね…」
「わりと女の人がナンパされてるのは見るから、誘ってほしいって思われちゃったのかも…」
「そっか…隙があったのかな」
「俺、村瀬冬太、お姉さんは?」
「あ…○○マリアです」
「マリアさん、またここ通ったら会える?」
「え? うーん…会社が近くだから、時間が合えばすれ違うかも知れないけど…」
「すれ違うんじゃなくて、会える?って聞いてるんだけど」
無邪気に笑う冬太くんに、私はしばらくキョトンとしてしまった
「また会いたいなって思って…」
「え? えーと…私、結婚してるんだけど…」
「高校生と人妻の恋愛なんて、ドキドキしない?」
「高校生!? 高校生がこんな時間まで外にいちゃダメでしょ?」
「あれ? 俺の話、スルー?」
冬太くんがどういうつもりで言っているのかわからず、私は何にも言えず困ってしまった
助けてくれたのだから悪い子ではないのだろうけど、からかわれているのかも知れない
「じゃあ、本当にありがとうね」
手を振って分かれようとすると、突然、肩をつかまれた
そのまま自分の方へ引き寄せ、冬太くんの唇が頬に触れる
「え!?」
「助けたお礼!」
「なっ……」
①怒る(5UP)
②照れる
③大人の対応をする
「何するの! こういうことは、好きな人にしかしちゃダメでしょ!」
「じゃあ、俺がマリアさんのこと好きになったって言ったら、してもいいの?」
「何を…」
(…言ってるの? これ、絶対からかわれてる……)
(この子、モテそうだし… 女の子の扱いにも慣れてるんだろうな…)
(今のを総司さんに見られてたら、大変な騒ぎになるところだった…)
「そ、それじゃあね、早く帰った方がいいよ」
「はーい、またね、マリアさん!」
(…またね?)
振り返ると、冬太くんは私が角を曲がって見えなくなるまで手を振っていた
イケない契約結婚 (C)Arithmetic