~第6話:喧嘩とピンチ③~  by 白金総司




(よく考えたら、この状況ってかなりまずいんじゃ…)


「お前が沢渡か」


「あんたは誰だ?」


「PLATINUMの白金…と言えばわかるか?」


「なんだって?」


沢渡くんが驚いたように目を丸くする

総司さんはいつものように涼しい顔だ…


「そ、総司さん…」


「なんで PLATINUM の社長が、○○の家に…?」


「なぜ? そんなこともわからないのか?」


「○○、どういうことだ? 白金さんとどういう関係だよ?」


「それは、あの……」



①恋人

②取引会社の社長

③無関係(5UP)



「な、なんの関係もないよ! 総司さんとは別に…」


「総司さん?」


「あっ…」

(つい、癖で…)


「悪いが、俺の妻を気安く誘わないでくれ」


「何?」


「総司さん!それは……」


「なぜ、黙っておく必要がある?」


「だって、もう少し落ち着いてから……」


「お前がこうして他の男に誘われるくらいなら、公表した方がマシだ」


「○○、白金さんの妻って…」


「他言するもしないもお前の勝手だ、好きにしろ」


沢渡くんにそう言い放つと、総司さんは私の手を引いて部屋を出た…



沢渡くんを置いたままだったのは気がかりだったけど…

私はそのまま、総司さんに引きずられるようにしてマンションに戻った



「本当に何もされなかったか?」


深く息を吐き、身を投げ出すようにソファに座った総司さんが、立ったままの私にそう聞いてくる


「は、はい」

「…後ろからナイフを突きつけられたけど…」


「何?」


「あ、でも、その後すぐに押し倒されて、そうしたら総司さんが助けにきてくれたから…」


「そうか…」


総司さんが、また深く息を吐く

そんな総司さんをぼんやり見ていると、呆れたような視線で私を見据えた


「いつまでそこに立っているつもりだ?」


「あ…そ、そうだ、私ご飯の支度の途中で…」


「そんなことはいい、座れ」


「は、はい……」


総司さんの隣に腰掛けようとすると、腕を掴まれた


「そこじゃない」


「え?」


「お前の場所はここだ」


抱き上げられて、ストンと総司さんの足の間に座らされた

そして、後ろから強く抱きしめられる


「そ、総司さん?」


「よかった……本当に…」


「あの……」


「お前があの男に押し倒されているのを見たとき、一瞬、何もわからなくなった…」

「…気がついたら、アイツを殴っていた…」


「総司さん…いつも冷静なのに…」


「ナイフが落ちているのを見て、血の気が引いたんだぞ…」


「すみません…」


「心配ばかりかけるな…」


後ろから抱きしめている総司さんの唇が、首筋に当たる…

総司さんがしゃべるたびに息がかかって、くすぐったかった


「それに、さっきお前が言ったことだが、後継者争い云々は関係ない」

「ただ、お前が心配で探しに行っただけだ」


「心配……してくれたんですか?」


「妻の心配をしない人間がどこにいる」


「だって…私奴隷ですよね?」


「ふっ、だが妻だろう?」


(妻…)

(もしかしてさっき、沢渡くんとのことを疑ったのも…後継者争いとは関係なくて…?)

「あ、あの、総司さん?」


「なんだ?」


「もしかして…嫉妬してくれたんですか?」


「何?」


「だから、私と沢渡くんのこと…」


「な……」


少しだけ、総司さんの頬が赤くなる…







イケない契約結婚  (C)Arithmetic