ももクロのアイドル「あーりんの部屋」 | ももクロ→エビ中→東北産の魅力

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「ももクロchan」の最初のDVDセット、「ももクロChan DVD - Momoiro Clover Channel- 決戦は金曜ごご6時」の第二集あーりん巻の特典映像「あーりんの部屋」は、「ももクロのアイドル」としての佐々木彩夏が、その才能を存分に発揮した、伝説的と言って良いほどの傑作だと思います。


「あーりんの部屋」は「徹子の部屋」のパロディー的な設定の企画です。
黒柳徹子はゲストの芸人に対して、流れを無視してギャグを無理に振って、それに対して笑いなしで冷静に解説することで、ドすべりさせて芸人つぶしを行うことで有名です。


この巻の「あーりんの部屋」では、「アイドル」をテーマに、安田大サーカスのクロちゃんをゲストに迎えます。
そして、司会役の佐々木が、彼を振り回して笑いを取ります。


確かに、クロちゃんに「あーりんのツボに入るのような、あーりん好みのとっても面白いギャグをお願いします」と、ギャグの無理振りをしますが、この企画の面白さは、そんな徹子のギャグつぶしのパロディーといったところにはありません。


笑いの第一の軸は、ゲストに話を聞くという建前の企画なのに、実際は、ゲストへの質問が、あーりんがしゃべりたいことをしゃべるための「振り」であって、あーりんは途中からそれを明ら様にして進行することです。


あーりんは矢継ぎ早にアイドルに関する質問を振ります。
クロちゃんが即座に返答できないと、「あーりんはね…」と自分が話してしまいます。
クロちゃんが話し出すと、すぐに質問を変えたり、ジュースを飲みながらつまんなそうな顔をします。


あるいは、あーりんのギャグ「あーりんだよ」への振りがミエミエの質問をします。


しかも、「理想のアイドル像」とか、「あなたにとってアイドルとは何か」という質問に対して「あーりんだよ」と答えることで、佐々木は自分自身を完成した「絶対アイドル」として、また、うぬぼれアイドルのパロディ化した姿を立派に演じる「ももクロのアイドル」として極立たせます。(*)


しかし、笑いの軸はこれだけではありません。


クロちゃんは、アイドル好きというだけではなく、アイドルになるつもりだったのに、松竹芸能に騙されてお笑い芸人にされてしまった(実際にアイドル部門で採用された)けど、今もアイドルになりたいと思っています。
そんな、アイドルになれそうにもなく、アイドルから遠そうなクロちゃんが「ゲスト」であり、完成された「絶対アイドル」であるあーりんが聞き役であるという、逆転した設定があります。


あーりんは、クロちゃんとのアイドルとしての圧倒的な実力差を見せつけることで、この設定のおかしさを際立たせます。


アイドルに関する質問に対して、あーりんは完璧な答えを用意している一方、クロちゃんの答えに対しては、するどいツッコミを入れて追い込みます。


ネタばれになりますが、例えば、先に書いたクロちゃんにギャグを振った後、どうなったでしょう。
クロちゃんが「あー食べ過ぎた、肩パンパン」とやった後、あーりんは無反応を返します。
「あー食べ過ぎた、腕パンパン」と続けると、あーりんは「パンパン」とギャグに乗って返します。
徹子とは違う、「ももクロのアイドル」の血がそうさせたのでしょうか。


クロちゃんは、お尻を横に向けながら「お尻ペンペン」とギャグをエスカレートさせると、あーりんも「ペンペン」と返します。
調子に乗って、クロちゃんが「ペンペペン」、あーりんも「ペンペペン」。
クロちゃんが「ペンペペポンポンピン」、あーりんも「ペンペペポンポンピン」。
クロちゃんがお尻をもっとカメラに向けて「ポロピロピンポンチャン」。
あーりんも返すと思っていたら、さっと座って、「はい、ということでですね…」。
クロちゃんが戸惑っていると、「あーりんはアイドルなんで、あんまりカメラにお尻ばっかり向けてられないんで」と、ぴしゃり。



ももクロの魅力


佐々木は、「絶対アイドル」であることを守りながら、ゲストを振りまわしていることを理解せずにそれを行う人という設定を「ももクロのアイドル」として演じつつ、自らの「あーりん」キャラを際立出せます。


佐々木側には大枠での台本はあっても、クロちゃん側にはなかったでしょう。
佐々木は、クロちゃんとの会話の中で、即興的に反応し、間を計りながら、高度な笑いを取っていきました。


確かに、あーりんに対してしっかり突っ込み、十分に拾ったクロちゃんはさすがでした。


しかし、当時、まだ中学生の佐々木は、この難易度がきわめて高い役回りをこなし切りました。
その彼女の才能には、天才だな、と思わずにはいられませんでした。


佐々木彩夏、「ももクロのアイドル」の衝撃!


「ももクロChan DVD -Momoiro Clover Channel- 決戦は金曜ごご6時」


(*) 佐々木は、素のままで(平日)完璧なアイドル、つまり「絶対アイドル」です。
しかし、週末の「ももクロのアイドル」としては、オチャメに、誇張されたアイドル像、ぶりっ子でナスシスなアイドルのパロディを、ギャグ化して演じて笑いも取ります。
ももクロのメンバーは、佐々木のその部分にはしっかりとツッコミを入れます。
その2重構造のキャラクターが「あーりん」です。
この点が、例えば嗣永桃子のキャラ「ももち」とは異なります。