今週末Summer Sonicがありますね。目玉は間違いなくKendrick Lamarでしょう。

以前も言いましたが、彼は将来歴史の教科書に載るようなアーティストです。

 

そんなわけで、以前も「Mr.Morale and The Big Steppers」についてツラツラ思いのたけを述べた私が、直近のセットリストを見て、この曲はただノリノリになるんじゃなくて、ケンドリックの思いとか歌詞にこめられたメッセージを理解したうえで聴いてほしい!という5曲を勝手につらつら書いていこうと思います。今回は1回目、曲はメジャーデビューアルバム「good kid, mAAd City」収録の「Money Trees」

 

 

アルバムの流れとしては、前曲「Art of peer pressure」で仲間に誘われ色々な悪事を働いて最後は空き巣に入り警察に捕まりかける、からのこの曲。「良い子ちゃん」のケンドリックすら、ストリートに取り込まれかけた。その背景が語られるのがこの曲、って感じかなぁ?

 

金さえあれば何でもできる、というサビだけれど、そのカネを手に入れる手段はやはり空き巣・強盗。金持ちを妬み、自分たちはトップ・ラーメン(貧困家庭で食べられる激安のインスタントラーメン)で腹を満たす。あーあ、金持ちになりてぇなぁ…と思いつつもその手段がフッドの理に囚われている…というのは、「To Pimp A Butterfly」収録の「Institutionalized」で補完できる。

 

それでも仲間とフリースタイルラップしてる時は唯一心を自由にできると語るケンドリックだが、叔父さんのトニーさんは彼の雄姿を見ることなく頭を打たれて亡くなる。これがフッド。そんな悲しみはルイヴィトンなんかで癒せない…というのは「Mr.Morale…」にも通じる。

 

 

個人的にこの曲の白眉はJay Rockのヴァース。…なんだけどケンドリックのステージで演るのかなぁ?とはいえ、この曲を理解するのに必要なヴァースだと思うので書く。

 

ケンドリックはギャングバンギンではなく友達の同調圧力でドラッグや空き巣などにも手を出したけど基本的にはグッドキッドだが、ジェイロックはバリバリのギャングスタだ。そんな彼がこの曲のテーマであるフッドの貧困・厳しい現実をギャングスタ目線でラップしてるんだけど、それが超辛いのだ。

 

ギャングスタなのに政府からの補助金をもらいつつ、コカインを作り毎日それを売りさばく。でもそれは娘や家族のため。他人のことなんて知った事か、と言えば無責任かもしれないけど、生きていくためには仕方ないのが現実。同じく生きていくために女性が身体を売ってるのも普通の目で見てしまう。

毎日誰かが撃たれたり警察に捕まる中、自分はどうかそうならないように神様に祈る事しかできない。いつか金の生る木の下で眠る事を夢見ながら・・・

 

つらい。ギャングスタラップ、というと過激で暴力的というのが一般的なイメージだけど、こういう窮状を訴えるギャングスタラップもあるのです。ケンドリックの淡々としたフロウとは違って畳みかけるように絞り出すようなジェイロックのフロウと相まって非常に心に突き刺さるのです。

 

 

…ところで「サンクスギビングにターキーなんぞ焼かない」ってラインがあるけれど、自分はNBAも好きで、そのバスケの指導者でもあり人材育成?など色々なことをやっている東頭俊典さんという方がJa Morantの銃見せびらかし騒動を受けて話していた実体験が思い浮かんだ。

 

1:04:39あたり~

 

 

そんなわけで、ケンドリックの曲、あと4曲をちょこちょこ書いていきますよ。