ブラウントラウトの状況を知りたくて、被害…というか侵略状況がヤバいと以前より情報だけ聞かされていた道南の有名河川を巡ってみた。あくまで1回訪問しただけだが、その時感じた印象をつらつら書いてみたい。

 

 

まず鳥崎川。道南のトラウトアングラーが通う川らしく、実際自分が行った時もかなりな釣り人がいた。がしかし、魚は一切釣れなかった。時間の関係上ダム下でしか釣りしなかったんだけど、見つけたのはサクラマスだけ。

というかサクラマスがかなり遡上して産卵行動をしてて秋に釣りに来る川ではないなぁという印象。

鳥崎は過去にブラウントラウトの駆除が行われているらしく、それもあって昔ほどのブラウントラウトの脅威は無いようだった。というか、河川規模やダムがあるのに結構サクラマスが上っている、という印象なので、むしろ在来種にとっていい川なのでは…?そして産卵時期にも拘わらずいっぱい入っている釣り人がサクラマスにとって一番脅威なのではないか?と思ったり。ちなみに鳥崎川は公にはサクラマスの放流はされていないので、自然産卵のはずだ。

 

疑問だったのが、鳥崎川は最下流にヤナ/ウライが設置されている事。つまりサケは大部分が人工ふ化にまわされる。…それなのになぜブラウントラウトに責任が押し付けられたんだろうか???

このブログで過去何度も書いてきたことだけど、結局はブラウントラウトも外来種というだけでスケープゴートにされているだけなのだ。

 

次に函館の戸切地川。ここもブラウンの川として有名。なんだけど、ダム下ではチビヤマメしか釣れず。時期が悪かったのかなぁ…?と思ったけど、ダム上ではブラウントラウトがそれなりに釣れたので、時期ではないと思う。だとしたらやはり戸切地もブラウンの駆除があってから脅威はなくなったのかな?

 

…駆除したら脅威がなくなる外来種って侵略的外来種なのか?

 

例えばアメリカザリガニとかウシガエルは、繁殖力がすごくて獲っても獲っても減らないから困りものだ…みたいな扱いという認識なんだが、はたしてブラウントラウトにそれが当てはまるのか…?

もともと自分はブラウントラウトは大したことない(特に北海道では)と考えている人なので、ブラウントラウトのメッカ的な2河川がこの有様なのを見て、よりその思いが増した。

そして戸切地にもヤナが。…ずいぶん簡易的なのでこれヤナだよね?と思ったけど、水産研究所のHPを見たら戸切地もサケの捕獲と放流をやっているのでヤナだと思う。

 

 

しかし、鳥崎が結構な遡上数だったのに対してここは全然サケを見かけなかった。サクラマスも1匹だけ。もともと資源の豊富な川ではなさそうだ。じゃあこちらもブラウントラウトを駆除した意味ってあったのか…?

 

 

最後に訪れたのが亀田川。ここはブラウントラウトがいると知らなかったんだけど、情報を手に入れたので行ってみたところ、ブラウントラウトがいた。フライでは釣りにくい川だったので実釣時間は少なかったので何とも言えないが、サクラマスはいなくてブラウンが釣れた(のとブラウンらしき魚1バラし)のがなんだか他の河川よりヤバさを感じた。この亀田川は市街地を流れる川で護岸工事個所ばかりで、9月時点では機能していない魚道のある堰堤もあった。サクラマスがいないという事と魚道は関連があるだろうか…?

 

ちょっと秋に来たのが失策だったかもしれない。今度行くことがあれば、夏に行って在来種とブラウントラウト両方をターゲットできるようにしたい。

 

 

ここからは実釣ではなく調べた情報を頼りに書くけど、なかなか函館近辺の川の状況がヤバい。森町は他にもブラウントラウトの生息する川があり、いずれも規模は決して大きくない川だ。また、先述の鳥崎川や函館市内の川にはオショロコマが生息しているらしいものの、それは放流されたものでありネイティブではない。

 

そういう状況を鑑みると、函館周辺のトラウトアングラーって大丈夫…?と思ってしまった。もちろん全員が全員じゃないだろうし、今の釣り人ではなく昔の釣り人のやった事(だよね?)だし、よそ者がうるせぇよ!と言われるかもしれないけど、「僕のつくった最強の釣り場!」みたいな考え方をしている釣り人が多いのではないか?とか考えてしまってすごく不安だ。

 

考えてみれば函館周辺でデカいニジマスが釣れる川!って意外にないのか?ニジマスを本格的に狙うなら一番近くて尻別川だろうか。それでもかなり遠い。オショロコマだって尻別川?もっと本格的に狙うなら十勝まで行かなきゃいけない。ブラウントラウトも尻別川か。函館にはヤマメイワナの小~中規模河川が多い印象。デカい川でデカい魚を…!みたいなのは確かにない、のかもしれない。

 

放流した人の心理は推測でしかないけど、「近くに居ないなら近くの川に放流すればいいじゃないか!」という心理の元にオショロコマやブラウントラウトを放流したとして、それを函館周辺のアングラーがもし今もやっているとしたら、かなり危ない思想だ。

 

ブラウントラウトについては降海型のシートラウトの存在を懸念する話もあるけど、自分は全然気にしていないし、分布の拡大には貢献していないと思う。

※ここで言う「分布の拡大」とは、ただブラウンの生息が確認されるだけでなく、ブラウンが安定して生息している事が確認されるようになる事だと解釈してほしい。シートラウトの遡上を見た!ここの川の河口でシートラウト釣った!だけでは「分布の拡大」ではないという事。

 

実例としてシートラウトが遡上した後その川がブラウントラウトだらけになったケースってある…?卵が先か鶏が先か、という話にもなるけど、シートラが遡上したからその川がブラウンだらけになったのか、ブラウンを放流したからその川にシートラが遡上したのか、もわからない。シートラウトに関しては今のところウワサや伝聞の話ばかりだ。

 

そして、シートラウトが遡上したところで…という話にもなる。シートラウトが遡上したとして、例えば大挙して遡上する川はあるんだろうか?たった1組ペアで河川に遡上したとして、それは「侵略」にあたるのか…?

 

 

とりあえず道南に関して言えるのは、鳥崎川の周囲の小河川にはブラウンが生息しているらしいものの、例えば八雲の中~大規模河川ではブラウントラウトの生息、少なくとも侵略の話は一切聞かない。シートラウトは一般的に母川回帰性が低いとされており、実例で言えば積丹の余別川河口と厚田川でシートラウトが確認されている事からも、母川の近くに遡上するというよりは結構離れた川や地域へ遡上・回遊する様子が推察できる。だから、「隣の川でブラウントラウトが釣れるようになったのはシートラウトが遡上したから」というのは個人的にしっくりこない。

 

じゃあなぜ森町とか函館・北斗市という局所的な範囲でブラウントラウトが生息しているかと考えれば、やっぱり人間による放流じゃないかと考える。亀田川も上述の通り少なくともシートラウトが遡上するとされる冬には機能していない可能性が高い堰堤の上にブラウントラウトがいた。そして函館周辺にはオショロコマすら放流されている。

 

 

函館周辺を釣り歩いたり調べたりして改めて感じたのは、ブラウントラウトの侵略性よりも人間の放流の方が何より危険だという事。もちろん最初に書いた通りたった1回の釣行なのでデカい口は叩けないけど、少なくともブラウントラウトがいっぱいいてヤバい!という危機感を感じたことは一切なかった。戸切地とて、ブラウンはそれなりに釣れたけど釣り人がひっきりなしに入っている影響が感じられたので、皮肉な話ではあるがブラウンの勢力拡大を抑止しているのは釣り人なのかもしれないな…とも思ったり。

 

とはいえ、1回だけじゃまだわからない部分も多い。来年以降、また訪れたいけど、行けるだろうかなぁ…。

 

 

もし道南のブラウントラウトやその他トラウトについて実体験のようなものがあれば教えていただければ幸いです。