海アメ海サクラのアングラーにとってなかなか衝撃なニュースが。

 

去年、千走川の河口規制が強化され、サクラマス釣りのメッカである北国澗や千走川河口が釣りできなくなったのは周知の事実だと思う。

 

が、今年はそれに加えて、積丹、岩内、蘭越地区の河口規制を強化する案が浮上している。まだあくまで案段階だが、ほぼ決定事項とは思う。

対象となるのは、まず神恵内村の2河川、珊内川古宇川。次に岩内町の野束川。そして尻別川。それぞれ、河口規制期間の延長や範囲の拡大が提言されている。

 

一つずつ見ていくと、珊内川は今までなかった規制が、しかも4月から適用されるので、サクラマス釣りは全くできなくなりそう。珊内地区でサクラマス釣りをするとしたら、漁港の北側にあるノーラン岬に続くゴロタ場だけだ。

 

古宇川は期間が5月→4月に早まるだけでなく、竜神岬の大部分が規制範囲に入るので、釣り人はこれまたかなり大きな影響を受ける。かろうじてトラセ・弁財澗方面の一部だけが釣り可能であるので、一応完全に竜神岬で釣りができなくなるわけではない

 

野束川は、今までサケ釣り期間だけだった河口規制がサクラマスの期間にも適用される。

 

尻別川は5→4月に期間延長。区域は変更なし。つまりメインポイントである精進川河口海岸は影響がない

 

 

個人的には、どのみち人混みを避けて釣りをするタチなので、千走の時と同様あまり困らない。竜神岬はちょっと悲しいが、去年書いたように不快に思う事が多い場所だっただけに、まぁいいんじゃないか?といった感じ。

釣り人は、与えられた場所で釣りをするしかないと思っているし、釣りは所詮遊びだ。本職である漁業関係者が決めた事には従わなきゃいけないと個人的には思っている。だから、今回の河口規制強化案についてはなるようになるしかない、というのが自分の思ってる事だ。

千走の時もそうだったが、規制強化の理由は資源確保というより釣り人のマナー面が大きいだろう。別にそこを勘ぐるつもりはない。むしろ言われなくてもわかります、って感じだ。特に古宇川は繰り返しになるが去年ここに書いた通り、酷かった。

 

とはいえ、資源の安定確保ももちろん正当な理由だ。盃カブト漁港でニジマスとサクラマスの養殖が始まった事をみなさん知っていると思うが、それは安定した漁業資源の確保を目指す取り組みだ。(盃カブト漁港も立入禁止になったけどこれまたホッケ釣りマナーの酷さもあったと思う)

 

でも、だとしたら疑問な事がある。今回の河口規制の目的は、サクラマスの親魚の確保、つまりは人工ふ化事業のための規制だ。それって、本当に安定した資源確保のためになるんだろうか?

 

 

サケは人工ふ化事業が盛んだが、ご存じの通り特に太平洋においてはサケ漁獲量の減少が深刻だ。人工ふ化、放流もして、アメマスを駆除したとて、だ。むしろ、サケ稚魚については人工ふ化の稚魚は自然産卵の稚魚と比較しても回帰率が同じ~むしろ低いという研究もある。

以前書いた記事で指摘したが、サケの漁獲量が順調に回復してきている後志・桧山地区は、それこそ千走川各支流や須築川、良瑠石川など多くの川で砂防ダムのスリット化を実施した事の影響もあるのではないか、という話もある。つまりは自然産卵も重視するようになった結果、ということだ。根拠はないしどちらかといえば希望的観測な説だけど。

 

サケの人工ふ化事業がイマイチうまくいっていない以上、サクラマスの人工ふ化事業を強化したとして、うまくいくのかは疑問だ。

 

あと、野束と珊内を規制する理由がわからない。野束川には訪れたことがないのでわからないけど、資源量の多い川とは聞いたことがない。ニジマスもいるし、何よりエッサマンがヤマメ釣りをする川だという認識なので、そんな川を規制しても…と思う。河川改修や砂防ダムも多いらしいし。

 

で、これまた以前書いた通り、珊内川はサクラマスの川としては見切りをつけられた川と思われる。

 

このように、もともとあまりサクラマス資源を期待できない川なのに、今回河口規制が適用されるのは正直よくわからない。ましてや2河川は保護水面ですらない。それなら、保護水面である積丹の余別川や島牧の大平川の河口規制を強化する方が理屈が通っている。大平は何ならサクラマス釣りの混雑やマナーの悪さでは後志地区でトップクラスだ。ゆえに自分は行かないのだが。

 

以上のイチ素人視点では、サクラマスのためという観点では河口規制に対する疑問も大きい。河口規制より、古宇川であれば夏場に機能しない魚道のある砂防ダム、珊内川であれば工事中の2号基の下流にある1号基の砂防ダム、その手入れなど河川環境を整えて自然産卵の増加および自然ふ化した稚魚の生存を重視する方がまず先だと思う。河川環境がこのままで、釣り人がいなくなったとしても、サクラマス資源が良い方向に向かうとは思えない。そういう意味では反対というか批判はしたい。

 

 

 

でも、結局自分も釣り人だ。釣り人が今まで考えて行動してきたか?と問われれば断じてNOだ。それは、マナーとか資源とかそういう以前の問題として。

 

例えば、今回河口規制が強化されれば他の釣り場に人が殺到する→ほかの釣り場も規制が強化される、というドミノ倒しが起こる懸念もある。

 

でも、それは規制されたからそうなる、ではなくないか?千走や北国澗は周辺が規制されてなくてもワヤだったのはどう説明できるんだろう?結局は釣り人の意識の問題だ。

 

一部のマナーの悪い釣り人が…と言うが、一部か?マナーの悪い、とは何?

 

自分の中でマナーの良いサクラマス釣り人は、冬場に40㎝もないサクラマスを何匹も何回も釣らず、砂浜にずり上げたサクラマスの写真を撮って「小さいのでリリース、元気に帰って行きました」とTwitterやInstagramに投稿せずいっぱい釣れるからとサクラマスを5匹も6匹も一度に釣っては近所に配ってまた次の休みに一般道を80㎞/hで走り捕まった違反切符をTwitterに上げたりせず夜中2時から真っ暗の磯場でしゃがんで明るくなるのを待ったりせずこういうご時世だからと車中泊と持参した食糧で済ませ地域にお金を落とさずトンボ帰りせず国道脇の路肩に真夜中に路駐せずバーブ付きのトレブルフック3本つけた13㎝のミノーで釣りをせずインターネットに釣りの情報を載せたり誰かに教えたりする事もせずPEラインの1㎝くらいのゴミを捨てたりせずこういうご時世だけど釣りくらいと混雑してる場所でも気にせず人の近くに入らず家族でない仲間とワイワイ喋りながら釣りせず釣りだけでなく日ごろからサクラマスや他の魚や環境について関心を寄せる人だ。

 

どれだけの釣り人がこれの半分は実践できている?俺は半分は実践してる自負がある。とはいえ、ネットに釣果をアップしてる時点で、自分とて良い釣り人ではない。

 

話は変わって、レジ袋有料化について小泉進次郎元大臣をヤンヤ言う人が多かった。確かに「政策」としては失敗だったかもしれないけど、考える機会を与えたという意味では正しい措置だったと自分は思う。なのに目先の利益や自分の不便しか考えない人が多すぎた事で、結果的に失敗に終わったと言ってもいいんじゃないか。ましてや釣り人なら、海や海岸にどれだけのプラスチックが流れ着いているか他の人以上に知ってるはずなのに。

それと同じ話で、お上が何か対策をしたとして、結局は我々一人ひとりの意識に成功するか失敗するかが委ねられている。本当は去年の千走川の規制強化が釣り人の意識を変えるきっかけになるべきだったのかもしれないが、考えもせず表面上の決定だけに白い目を向けた釣り人が多かったからこそ、今年も河口規制が拡大される案が出たわけだ。なお言うなら、千走川(と泊川)はサケ釣りのマナーも悪く、一昨年にサケ釣り時期の河口規制が強化されていたのに。

 

 

だから、今回の河口規制がどうだとか考えるのは、浅はかかもしれない。今回も含め今後新たな河口規制が生まれないために、他の釣り場が禁止にならないために、どうすべきか。それは、上がどういう対策をすべきか考えるのではなく(もちろんそれも大事だが)、自分が何をできるかを考えるべきだ。それこそ一人ひとりがサクラマスを1匹釣ったら釣り終了、とか。そうすれば釣り場の回転率も上がるし、資源を減らすリスクも減る。サクラマスのキープは年間5本にする、せめて地域ごとに、とか。ここで釣れた!とかじゃなく、そういうためにインターネットやSNSがあるべきではないか。

 

もちろん、考えた結果の行動の中には、サクラマス釣りをやめる、という選択肢もあるのをお忘れなく。自分も今のところは考えたくないが、数年先になったらやめてる可能性があるかもしれないなぁ…。

 

ただ、そうなっても違う形でサクラマスを追い続けるだろう。それでも自分は十分幸せになれると思う。