「アユン-アユン」曲の調べ
それは夜を一枚また一枚とめくってゆきます
山から下りてくる風に吹かれて
枯れ葉がゆらゆらと舞うようにして
そして私も昔のあの頃へといざなわれるのです
9・30事件が起きる前の時代
私の父は古参のクトプラ役者でした
若い頃はスウィトという名前で
長じてカルソ・スウィトと名乗るようになりました
愛称はゴンジン
父の劇団はとても人気が高かったのですよ
チャリティ公演や小屋掛けの芝居の上演は
1カ月間にも及ぶことがありました
地方の中小の町
―バントゥル、スレーマン、ワテス、トゥリ、パクム、チュボンガン
ヨグヤカルタ特別州の外へも行きました
西へ、北へ、それから東へ
—クラテン、プルウォルジョ、ボヨラリ、サラティガ、ムンティラン
父はたいてい二枚目の青年の役を演じ
たくさんの女達が父に憧れていたものです
口説きの場面になったらなおさらのこと
―高らかに愛を歌い上げる場面です―
観客達は感動のあまり言葉もなく
外では風さえ吹くのをやめ
虫達は鳴りをひそめ
木々達も耳を澄まします
母は踊り子でした
若い頃はパルジナという名前で
愛称はジナ
でも、シンデンとしては
ニケン・マドゥ・クンテルという源氏名で知られ
どれほどあちこちへと旅したことか
地方の中小の町
――バントゥル、スレーマン、ワテス、トゥリ、パクム、チュボンガン
ヨグヤカルタ特別州の外へも行きました
西へ、北へ、それから東へ
——クラテン、プルウォルジョ、ボヨラリ、サラティガ、ムンティラン
たいてい村長さんの家に泊めてもらいます
母も人気があってタユバンの会に招かれていきました
幾人かの仲間達と一緒に
――同世代の踊り子グループです
母がプリマドンナでした
客を相手に踊る時間ともなると -それはもう-
村長さん、お役人さん
群長さんや県長さんまで
欲情にかられ ―抑えることなんて無理―
のど仏を上げたり下げたりするのです
母と踊りたくてたまらないのです
こらえてこらえて、順番を待つ
夜も更けようものならなおのこと
スウィトとパルジナがまだ独身だった頃
二人とも人のうわさに上っていた頃
二人そろって公演に呼ばれたときのこと
そう、クトプラとタユバンの公演です
―それは本当に偶然のことでしたー
公演の場所はすぐ近くで
そこはバントゥル県
ヨグヤカルタの町の南
偉大なる神のお力により
二人はひき会わされたのです
コモとラティがそれぞれの体内に潜り込み
スウィトとパルジナは恋に落ちました
天界の魔術にかかったかのように
二人は生を謳歌しました
場所も時も羞恥心も忘れ
場所はいつでもそこにあり
時はずっと昔から動いているのに
羞恥心が消えてなくなるのは
互いに追い求める生の炎の中で
場所も時もわきまえなくなった時
ああ、誰が知ることができたでしょうか
私という人間の種が
バントゥルの今にも朽ち果てそうな小屋の中で
私の両親によって植え付けられたことを
でも、クトプラの劇団や踊り子の集団は
あの滅茶苦茶な事件の後、消滅してしまいました
多くの団員達が殺されて死にました
その他の団員の多くは軟禁状態
軍の司令部で毎週金曜日に点呼を受けるのです
震える心を抑え
朝の8時に点呼を受けるためにそこにいなければならない
父と母もそうでした
後悔することも疑うこともせず
順番に返事をするのです
悲しみもなければ溜息をつくこともなく
その心は不安に対して不死身でした
釈放の日が来るまで
そして、今はもう元通りになりました;
父の王様の被り物も衣装も
母の踊りの肩掛けも
きちんとたたんで棚の上にしまってあります
過ぎ去った人生の物語の一コマとして
そして、今はもう元通りになりました;
父と母は野良へ出ています
畑を耕し
陸稲や様々な作物を植えます
グヌン・キドゥル県ウォノサリで
