自己アピールについて内田樹先生の面白い記事を発見したので、引用します。大学生にとっては考えさせられる内容だと思います。

ソース元はここです。

「自己アピール」って何ですか?


新四年生のE並くんからメールが来て、「***放送の書類選考に通って、第一次面接があります。自己アピールを自由に書けというのですが、どんなことを書いたらいいんですか?」という質問があった。
よい質問である。
質問してくるということ自体がよい。
こういうことを私に携帯メールで訊いてくるという点で、E並くんの就活能力の高さがすでに証明されていると申し上げてよろしいであろう。
社会性というのは、ひとことでいうと、「システムがどういうふうに機能しているか、だいたい見当が付く」能力のことである。
よく使う図書館の比喩を使わせて頂ければ、「自分が読んだ本」(それがどれほどささやかなものであれ)が図書館のどの階のどの棚に配架されているかを知っていることを社会性という。
「自分が読んだ本」がどこにあるかを知っている人間というのは、「自分がまだ読んだことのない本」がどこにあるかだいたい見当が付けられる人間である。
逆に、「自分が読んだ本」について、それらにどのような分類上の特徴や偏りがあるのかについて記述することができない人間は、どれほど膨大な書物的知識を有していても、「図書館」の中では迷子になる。
「読んだ本」というのは学生さんたちがこれまで習得した知識やスキルのことで、「図書館」は社会の比喩である。

「自己アピール」ということを就活中のほとんどの学生さんは勘違いしていて、英検が何級であるとか、留学経験があるとか、どこそこにボランティアに行ったとか、武道の段位を持っているとか、日舞ができるとかいう外形的な資格や能力を誇示することだと思っている。
あのね、人事のおじさんたちが、そんなチープな学生の自慢話を聞きたがると思うかね。
彼らは毎日何十人、一シーズンに数千人からの学生を面接するのである。
「そんな話は聞き飽きた」話をすることが、どうして「アピール」になるであろう。
「アピールする」というのは、自分がこの社会の中のどのポジションにいるのか、それをできるかぎりわかりやすく記述するということである。
それだけのことである。
だって、あなたは63億から人口があるこの世界にただ一人しかいないわけで、そうである以上、あなた以外の誰によっても占めることのできない、代替不能の「ポジション」を今占めているわけでしょう?
それがどんなポジションかを告げる、というのが自己アピールということでしょう?
そのポジションの人が有用であると先方が判断すれば採用されるし、そのポジションはいまのところ不要だわ、ということなら採用されない。
ただ、それだけのことである。
その人事の手間をできるだけ省いてあげるのが自己アピールの意味である。
勘違いしないでね。
就職活動の要諦というのは、人事の人の「採否の判定の手間をできるだけ省いてあげる」ことに存する。
肩にフケだらけのアオキの29800円のスーツを着て、鞄からギャルゲー攻略本をはみださせて、何を訊かれても「ええええっっとおおお」と不得要領で答える学生は、
「あ、キミは間違いなく本社にはまったく不要な人間です」
ということを人事の担当者に面接10秒で納得させられるから、これもまたある種の社会的能力と申し上げてよいのである。
それは彼のたたずまいが、彼が「この社会において占めているポジション」を適切に指示していることのネガティヴな効果である。
その逆を考えればよろしい。

「リクルート」というのは「新兵徴募」ということである。
こんな情景を想像してみて欲しい。
戦場で、小隊長から前線の兵士たちに無線が入る。
「現在位置を報告せよ」
「えっと、ですね。上には空があります。下は地面です」
というような報告をする兵士は「パス」される。
当たり前だね。
「何か麦畑みたいなところにいます。ひばりが鳴いてます。あ、ヒマワリきれい…」
なんていう報告をする兵士も「パス」。
「はい、私はこのあとばりばりと功績を上げてですね、いずれは将官となって三軍に指令する立場になりたいと思っております、はい」
というような報告も「パス」。
必要なのは
「はい、現在位置マルヌ橋西方300メートル。橋の東側に敵戦車一台、歩兵一個小隊。機関銃二座です。こちらが高台で遮蔽物もありますので、分隊の応援あればただちに攻撃可能です」
というような報告である。
私はどこにいるのか、何が見えるのか、どこに行けるのか、何ができるのか。
そして、そのミッションがなぜ私以外の誰によってもいまのところ代替できないのか。
それを報告できる兵士だけが前線で「使い物」になる。

E並くんはおそらく就活でただちに成果を挙げるものと私は予測している。
それは「自己アピールって何を書いたらいいんだろう?」という問いに逢着したときに、ただちに携帯メールでウチダに問い合わせたからである。
どこの紐を引っ張ると、何が出てくるかをだいたい見当がつくということ、これが繰り返し申し上げているように、システム内におけるふるまい方の基本である。
E並くんは、「就職活動心得本」のようなものを読むより先生に携帯メールした方がメンドーがなくていいわと判断した。
手間と効果のコストパフォーマンスのソロバン勘定をしたのである。
そしてふつうの会社の人事の人は「そういうソロバン勘定ができる人間」を求めているのである。

twitterにマンガ「ハチミツとクロバー」の名言を集めた

hachikuro_botを発見。
http://twitter.com/hachikuro_bot

マンガ本体は読んだことないんですが、なかなか面白いです。


●みんなずっと仲良しで上手くいってたのに どうして今のままでいられないの? どうして今更みんな そんなコト言うの? スキだとか何だとか…… そんなコト言わないでさえくれたら このままずっと一緒にいられるのに (山田あゆみ/chapter.30)



●他人から見たらどんなに情けなくても みっともなくても 真山を想う この気持ち たったひとつが 冷たくて明るい 私の宝物だった (山田あゆみ/chapter.53)


●恋をすると女の子はキレイになるっていうけれど ダメだな男は――― ――カッコ悪くなるばかり……… (真山巧/chapter.15)


電話の声を 聴いただけで わかった 何かが あの2人の中で 始まった事が…… わかっちゃうんだ だって ずっと見てたもの ずっと ずっと ずっと (山田あゆみ/chapter.52)


ハチミツとクローバー (1) (クイーンズコミックス―ヤングユー)/羽海野 チカ
¥420
Amazon.co.jp

あぁ、映画ネタも書かなきゃ…。

会計の井上さんが本を買ってきてくれたので次回紹介します。 


by フジタ


火の鳥 (9) (角川文庫)/手塚 治虫
¥580
Amazon.co.jp

 最近、テレビや自分の周りの人が「火の鳥はいいよ!名作だよ!」すすめる声を聞き、自分も読みたくなったが、全巻買うと高いので、どうしようか悩んでいたところ、有難いことに映研の子に全巻、貸してもらった。

ほんとに感謝。

 自分は普段、マンガはほとんど読まない人間だが、この「火の鳥」シリーズは寝不足になるくらいハマった。

 永遠の命をもつ不死鳥火の鳥を通して、人間のエゴや愛、生命、輪廻転生、罪と罰などが、ドラマティクに描かれており、マンガというよりもほとんど文学、映画の世界。


 シリーズのどの作品も面白く読めたが、今回は個人的に好きな生命編を紹介したい。

【あらすじ】

 舞台は西暦2155年、視聴率を上げようと焦るTVプロデューサーの青居は「人間殺人番組」を企画する。視聴者が「獲物」を殺したらヨーロッパ旅行があたるという企画。青居は殺す人間を作るためのクローン技術を求めペルーに渡る。そして、ペルーの山奥で火の鳥と人間のハーフという鳥人間の女性に出会い、大量の青居のクローンが出来上がったが、なんと、青居は自分のクローンと間違えられ、「人間殺人番組」の獲物にされてしまった…


【以下ネタばれ】

 青居は、レーザー銃で狙撃され、片腕を失ったものの、ジュネという少女と出会い、なんとか逃げ延び、彼女とともに北海道の森林に逃亡する。逃亡してから15年の月日が流れ、自然の中での健全な生活のなか、自分の欲にまみれた傲慢な考えは間違えであったことに気づいた青居。彼は、大人になったジュネに恋心を抱き、生まれて初めて「本当に人を好きになること」を知る。

 あるきっかけから、15年たった今でも「人間殺人番組」をやっていることを知った青居は、償いの気持ちから、番組を終わらせるために、クローン人間工場に乗り込み、自爆することで工場を破壊する…。


【感想】

 青居は最初エゴむき出しの嫌な人間だったが、死にかけ、少女ジュネと出会い、「善」に目覚めていくというのがこの作品のコアだろう。「こんな番組は終わらせないといけない」といって、自分の命を捨ててでも正義を遂行する青居の姿に感動した。

 そして、ラストシーン、生命を殺すことの罪を忘れ、「死んだのは、オリジナルの青居かクローンの青居か」と尋ねる病院の院長に、「とうさんは人間よ!」「それでいいじゃない」と叫ぶジュネ。

人間ってどこまで馬鹿なんだろうと思った。