今日は金曜日、ノー残業デーの日。残業をする時は届け出をするが、今日はどこの課もそれは無かった。僕は覚悟を決め、ユノを待ち伏せした。社員が必ず通る玄関口近く。数人の社員と一緒に、ユノがエレベーターから降りて来たのが見えた。金曜日は歓迎会が多い日でもあるが、営業課の歓迎会は来週の金曜日だと知っていた。総務課も、来週。一番早い金曜日は今日しかない。
ユノはにこやかに皆と別れ、駐車場の方に足を向けてこっちに来る。ユノが聞こえる距離に来た時、僕は声をかけた。
お疲れ様でした。
ユノは僕に気づき、体が少しビクッとしたのが分かった。
お疲れ。
雨振りそうなんで、送ってもらえませんか?
少し前から、小さな雨粒が落ちて来ていた。
…、分かった。
僕はユノの車に乗った。ユノがバイトで買ったあの車だった。
懐かしい。
そうか?
うん。
家、どこだ?近くに借りてるのか?
うん。教えるよ。
ユノは車を出した。