課長、もう少しで出向の方来られますよ。
ん、もうちょっと。
駄目です。そんなバタバタで、相手の方の名前ぐらいはちゃんと覚えてるんでしょうね?
え、いや、その、
まさか、まだ資料見てもないんじゃ、
その時、失礼しますと言う声と共にフロアのドアが開き、皆が一斉に手を止めた。そこには色が白くて綺麗な顔立ちの小柄な男性が立っていた。きちんとしたスーツを着こなし颯爽と歩く。部長の席に挨拶に行く。部長がにこやかに手を出し応える。
皆、聞いてくれ。先に知らせていた通り今日から出向してくれるキム君。お互いいい仕事が出来る様協力してくれ。
しばらくお世話になります。よろしくお願いします。
その人は爽やかに挨拶した。第一印象は悪くないだろう。キムさんは課長の席にやって来た。振り向くと課長は顔面蒼白。???。課長が廊下へ席を外す。キムさんも。不思議に思って後を追いかけてみると曲がり角の先から二人の声。
ユノ、久しぶり…。
…、ああ、元気だったか?
うん。ユノの活躍はこの業界では有名だから知ってるよ、流石だね。
そうか。
ドンへ達は元気?
ああ。
あれからすぐ日本で仕事してたから、こっちは久しぶりなんだ。
そうか。
…、今、幸せにしてる?
そっちはどうなんだ。
恋人はいないけど幸せだよ。自分が選んだ道だから。
そうか、ならいい。
ユノは?幸せ?
…、
…、もう俺達にこんな話関係無いか。
…、そうだな。関係無い。
いい仕事、しよう。
ん。
今日は挨拶だけだから、明日からは本格的に頼むね。
ああ。
じゃ他のとこにも挨拶回りするからこれで失礼するね。
ん。
動かない課長。動けないのか?
あの人が課長の……。
まさか一緒に仕事をする事になるなんて。