帰り、車のキーをポケットから出そうとして気づいた。見慣れぬキー。課長の部屋のだ。送った時課長を連れて入るのに懸命で、無意識にポケットに入れたようだった。
どうしよう。あれから数時間。様子も気掛かりだし、行ってみようか。
課長には悪いけど、だまって静かに部屋に入る。起こすと悪いから。
ちゃんと寝ているようだ。キーはテーブルの上にでも置いて帰ろう、そう思って出ようとした時、
ん、…、くっ、っ…、
呻き声?
顔を覗き込む。真っ赤だ。体温を計る。40度超えてる!駄目だこのままじゃ、もしかしたら益々上がるかもっ。解熱剤、解熱剤!水、水!
いざ飲ませようとして気づいた。課長、意識ない、病人用の吸い口もない。どうやって飲ませるのか?
口に無理矢理ペットボトルを押し付けても、飲むわけないじゃん!
課長、ごめんなさい。
課長、課長、薬です、頭上げますよ。
ん、ん。
僕は口移しで課長に薬を飲ませた。
課長、大丈夫ですか?
んー。
薬が詰まってたら危ないから、もう一度水を口移しで飲ます。
ん、ん、ごくっ。
飲めましたか?
課長が、薄目をあける。
シ、ム、ど、し、て、ここ、に?
さっき送った時、課長の鍵、持って帰ってて、寄ってみたら、課長すごい熱で。今、薬飲ませたから暫くしたら効いてくると思います。ちゃんと薬飲めてますか?喉、痛くないですか?
ん。
寝て下さい。時期に楽になると思いますから。
ん。
課長は又目をつぶった。
僕はほっとけなくて、暫く様子を見、ベット脇でそのまま寝てしまったのだった。