2017(平成29)年12月

邦画 『ふしぎな岬の物語』 は2014(平成26)年10月に

公開された東映作品で

主演女優、吉永小百合が初めて映画企画を担当した作品です

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原作は森沢昭夫の小説 『虹の岬の喫茶店』

千葉県安房郡鋸南(きょなん)町の明鐘(みょうがね)岬に

実在する喫茶店をモチーフに執筆された作品です

監督 成島出    117分

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小さなな町の長閑な地

明鐘岬の突端に町の住民たちが集う岬カフェがあります

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皆のお目当ては店主、柏木悦子(吉永小百合)の入れる

一杯のコーヒー

それを飲むと皆の心は軽く元気になるのでした

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そんな悦子のコーヒーは

何でも屋を営む甥の柏木浩司(阿部寛)と共に

毎朝、汲んでくる沖合の小島の石清水を用い

おいしくなーれ、おいしくなーれと思いを込めて入れられます


45歳になる浩司は思い込みが激しく

たびたび問題を起こしますが

カフェの隣の掘っ立て小屋に住み、叔母の悦子を見守っているのでした

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30年来の常連客

不動産会社に勤めるタニさん(笑福亭鶴瓶)は

この二人の一番の理解者です

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ある日、この岬のカフェに父と娘が来ます

東京から虹を追いかけてきたという父娘は

店に掲げられている虹の絵に惹かれます

その絵は悦子の亡き夫が残したものでした

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父親は最近妻を亡くし

娘がそのことを受け入れられないと語りだすのでした

悦子はその娘にとっておきのおまじないを教えます

それは大切な人を抱きしめて

大丈夫、大丈夫と唱えるとあったかい気持ちになれるというおまじないです

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父親はそのおまじないを娘にかけようとしますが

逆に娘に大丈夫、大丈夫と唱えられてしまいます

娘が気にかけていたのは父親のことでした

ハート

店の常連客、住職、雲海さんの息子の結婚式です

嫁のきての無かった独身男の結婚式で

町では盛大に催され悦子も浩司も招待されました

新郎の柴本孝夫(春風亭昇太)と新婦の恵利(小池栄子

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撮影場所は館山フラワーパークです

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ところがこの御目出度い席に

酔客が悦子に絡み

これを知った浩司が駆けつけ

その場は大乱闘劇になってしまいました

またしても浩司の異様な悦子への思慕が巻き起こした事件で

この場を治めたのもタニさんでした

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常連客の町医師富田(米倉斉加年)と漁師の竜崎徳三郎(笹野高史)

最近ことに痩せだした徳さんに二人は病院での検査を勧めます

米倉さんこの作品が遺作となってしまいました

この年(2014)の8月26日お亡くなりになりました  享年80歳

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折しも町は恒例の岬まつりです

徳さんの一人娘みどり(竹内結子)が駅に降り立っていました

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このお祭りは架空の祭りです

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吉永小百合さんのアイディアです

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父の反対を押し切り

東京の男と一緒になった娘です

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仲違いしていた父娘ですが

吐血する姿を見、みどりは至急病院に父を行かせるのでした

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浩司を兄のように慕っていたみどりは

浩司と二人で

中学校の恩師、吉行先生を尋ねます

先生も岬カフェの常連客の一人ですが来春は定年で

この地を離れ東京に引っ越すとのことです

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先生から渡された卒業文集に

みどりは将来、父と母を楽にさせいっぱいいっぱい笑顔にしてやりたいという

思いを綴った文集を読み父への思慕が深まるのでした

東京からみどりを追って前夫が追ってきました

それを追い払ったのは浩司とタニさんでした

病院から連絡が入ります

徳さんは末期のガンでした

さらに哀しい出来事が続きます

常連のタニさんまでもが大阪の子会社に転勤です

体の良い肩たたき左遷です

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30数年来慕い続けた

タニさんの悦子への思いが分かる浩司はタニさんに

最後のチャンスだとプロポーズの機会を与えますが

タニさんは、どうしてもその一言が言えず

船上の人となり一人大阪に向かうのでした

余命僅かとなった徳さん

入院中も悦子の差し入れのコーヒーを楽しみにする父を見て

みどりは悦子にコーヒーの煎れ方を教わります

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死を覚悟していた徳さんは

最後にみどりに看取られ旅立ちました

以前、岬のカフェに立ち寄った父娘が再度立ち寄りました

夢で虹の絵をあるおじさんが娘に返してほしいと言っているとのことです

返してほしいと言っているおじさんはこの人かと

悦子は亡き夫の写真を見せると

少女は頷くのでした

悦子は亡き夫の遺品の虹の絵をその父娘に託します

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悦子にとって目まぐるしい年でした

常連客の徳さんを亡くし、30年来通い続けたタニさんは転勤で大阪へ

吉行先生も東京へと親しかった人々が去っていきました

さらに亡夫の遺作、虹の絵も手元からなくなりました

呆然自失の日々を過ごし

店も休業する悦子

ある夜、物思いに耽る悦子がふと気づくと

店内はストーブから引火した火が燃えさかっています

呆然と佇む悦子を救い出したのは浩司でした

その晩、悦子は浩司と語りだします

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早くして両親を亡くし

姉は家に寄りつくことも無く一人で生きてきた悦子

若くして必死で働くなか

絵を描いて暮らしているという男の生き方に惚れ結婚

しかしその夫も早くして亡くしてしまいます

そんな中、施設から姉が亡くなり

預かっている息子をそちらで引き取ってもらえないかとの連絡

断るつもりで訪れた施設

ずっと悦子を哀しそうな目で眺める浩司の姿に

悦子は浩司の手をひいて連れ帰るのでした

しかし浩司は悦子を疑うかのような目で見るばかりでなつきません

ある年

浩司を可愛がっていた若い漁師の船が難破しました

他の乗員は皆助け出されますが

浩二の慕っていた若い漁師は帰らぬ人となってしまいました

浩司は以降、悦子になじみだし

悦子を護るのが自分の使命だと思い込むのでした




悦子は続けます

私を支えてくれたのは嘘でもなんでもなく

カフェ横のテーブルに座って絵を描く亡夫の姿が見えて居たからだ

そして、いつも店に来てくれる浩司や

村のみんながいたからここまでやってこられた…

しかし

みんないなくなって

更にあの人からも見放された

私は一人ぼっちだ…と

浩司は疲れ果てた悦子を抱き

大丈夫だよ、大丈夫だとと背をなでるのでした

岬のカフェは

村人の勇士たち総意の心意気で再建です

多くの常連客、村人たちの中に交じり

東京の不思議な少女、父娘も

以前こそ泥に入ったドロボーさん一家も駆けつけています

開店初日

コーヒーの水くみの初出船

浩司の船には悦子、さらにみどりも一緒に乗っています

みどりのお腹には新しい命が宿っていました

実在のカフェの店主と吉永小百合さん

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少し侘しい物語でした


評価 ★★☆