2017(平成29)年11月

2004年制作の韓国映画『ブラザーフッド』です

原題名は 『太極旗翻して』 です

民族を二分した朝鮮戦争に翻弄された兄妹、家族を描いています

148分

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物語は現代の韓国社会から始まります

戦場跡での遺骨発掘作業中にイ、ジンソクと名の入った

万年筆が見つかったと

イ、ジンソクの許に調査団から問い合わせがあります

ジンソクは戦時中に思いを馳せ乍ら発掘場所に向かいます

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1950年(昭和25)の初夏   ソウル

第二次大戦も収束し

靴職人を目指し靴磨きに精を出す兄のイ、ジンテ

そして高校生の弟イ、ジンソクの兄弟が暮らしています

韓流四天王(ペ、ヨンジュン、チャン、ドンゴン、イ、ビョンホン、ウォンビン)と

称された4人のうち二人が主演しています

兄イ、ジンテ=チャン、ドンゴン   弟イ、ジンソク=ウォンビン

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彼等の母は、熱病を患い言語障害となっていますが

幼い弟妹と共に貧しくとも日々暮らしていました

兄のジンテの許には婚約者のヨンシンが毎日のように家に出入りしています

ヨンシン=イ、ウンジュ(火の鳥)

2005年2月に24歳の若さで自殺されています

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しかしこの年、1950年の6月25日

ソウルは突如、朝鮮人民軍に攻め込まれ

再び戦火にまみれ

人々は南に逃れようと必死に列車に乗り込みます

しかしこの途中

弟ジンソクは韓国の徴募隊に捕まり

ジンソクを助けようとしたジンテも強制的に入隊させられ

最前線に送り込まれます

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働き手の兄弟二人を失った母と幼い弟たちを

取り残されたジンテの婚約者ヨンシンが面倒をみます

軍隊に入ったジンテは

弟を除隊させるためには自分が手柄を立てねばならないと思い

あえて危険な戦場へと志願して赴きます

自分を除隊、大学に行かせるために犠牲となって

戦場に出向き、狂気じみた戦士となり

敵、味方なく駆けずり回る兄の姿にジンソクは

理解に苦しみ正気を失ったようにしか思えなくなっていました

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そうした中

兄ジンテは人民軍の幹部を生け捕りにする手柄を立てました

ついにジンテは韓国軍最高栄誉の勲章を受章

米軍の参戦により

南軍は勢いを取り戻し朝鮮人民軍を北へと追い詰めています

弟、ジンソクの除隊も間近に思われ

戦争も終結の空気が漂っていました

しかしこの年の  1950年12月

中華人民志願軍北に組みし参戦してきました

戦争収束の観測は脆くも崩れ去り再び戦火におののきます

ジンテ、ジンソクの兄弟は

家族を救出するため一時ソウルに立ち寄りました

そこでは

残されたジンテ兄弟の家族を守るためヨンシンが必死に家族を支え

配給が乏しくなったため

やむなく北朝鮮側の労働奉仕に参加し家族を護っていました

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ところがそのことが

反共自警団の知るところとなり

ジンテ、ジンソク兄弟の目の前で処刑されてしまいます

この事件は後に補導連盟事件と言われています

この事件は朝鮮戦争の最中に、韓国軍、警察、反共極右主義者らが

共産主義や左翼思想を弾圧するために

収監中の政治犯や民間人さえも大量虐殺された事件で

その数は114万にも登るとされています

韓国国家による自国民への大量殺人です

日本でも韓国と同様の治安維持法が制定されていました

当初は共産主義革命の過激さを阻止する狙いでしたが

やがて宗教団体、左翼活動、市民運動へにも対象が拡大され

多くの人々が弾圧、収監が行われています

戦地で戦う戦士以外にも

国内でこのような権威を盾に傍若無人に振舞う暴挙

生まれるのが戦争です

今年、安倍内閣が共謀罪とも言われる

組織犯罪処罰法が強行採決されました

軍靴の足音が刻々と近づいています

共謀罪には密告者は刑、減免という趣旨があります

誰もが疑心暗示に陥る社会になる恐れもあります

怖い政権です

ヨンシンの処刑を止めようとした

ジンテ兄弟も自警団に監禁されてしまいます

(戦地で戦う戦士よりも国内取り締まりの自警団の方が強いです)

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この事件により二人は連行され

弟のジンソクは捕虜の入っている倉庫に強制収容され

軍功のあるジンテは

大隊長にジンソクの除隊を申し出るのでしたが

大隊長はそんな過去の約束は反古同然だと言い放ち

折しもこの部隊に中国軍が侵攻してくると

大隊長は監禁している倉庫に火を放つ命を降し

部隊は中国軍に降伏するのでした

ジンテは燃え盛る倉庫に弟ジンソクを助けようと飛び込みますが

焼けただれた遺体のそばに

自分がジンソクに送った万年筆が残っていました

最愛なる弟を死に追いやり処刑を命じた上官を

ジンテはスキを狙い滅多打ちにして殺害するのでした

愛する婚約者ヨンシン、弟のジンソクの二人を死に追いやった韓国軍

どういった経緯からか

ジンテは朝鮮人民軍に身を置き

韓国軍相手に銃口を向けるのでした

ところが、弟のジンソクは倉庫に火をつけられる寸前

友人の計らいで野戦病院に送り込まれ命は助かっています

兄が北軍に寝返った報を知ったジンソクは

兄が母に送り、所在不明でかえってきた手紙の文面を見て

あくまでも自分を母の許に帰すため

犠牲となり鬼となった兄の心情を図り

北軍の陣地に兄を尋ね自分は生きているのだと

周囲の反対を押し切り最前線のトゥミリョン高地に向かいます

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人民軍に投降したジンソクは

戦場の最中、兄を必死に求め続け

遂に兄と再会します

兄は弟を無事に退却させるため銃口を人民軍に向け放ちます

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彼の手には返そうと思っていた

ジンソクの万年筆が握られていました

リアルな戦場シーンが話題を呼び

韓国内で大ヒットした作品です

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