２０１６（平成２８）年９月１３日（火） 
今日は午前３時に台風１５号、１６号が発生し
９月に入ってから立て続けに５つの台風が発生しています
日本付近には秋雨前線が停滞しているため
台風から離れていても大雨への注意、警戒が必要です
こんな時にはと、家内の友達のＧｕッちゃんからお借りしたＤＶＤ鑑賞です
昭和４０年（１９６５）４月、東映の制作、配映の劇場公開映画で
シネマスコープ、モノクロ９２分で石井輝男監督作品です
高倉健さんは日本を代表する映画スターで
代表作には日本侠客伝シリーズ、網走番外地シリーズ
昭和残狭伝シリーズ、八甲田山、幸せの黄色いハンカチ、南極物語…等々あり
この網走番外地は健さんの出世作です
この作品は東映本社内でも期待されず
当時の二本立て併映の表に、鶴田浩二主演の 『関東流れ者』 はカラー
添え物の、『網走番外地』 は白黒というスタートでした
当初の主演は丹波哲郎で準備されていましたが
石井監督が石井作品に多く主演していた高倉健を呼び寄せロケがスタートしました
高倉健、当時３４歳、映画界入り１０年の年でした
高倉健が大川博社長にカラーでと直談判に及ぶと
文句があるなら梅宮辰夫に変えるぞと言われる始末でした
物語が始まります 極寒の網走駅
汽車から降ろされた男たちはトラックに乗せられ網走刑務所に護送されます
この新入りの受刑者の一人に橘真一（高倉健）がいました
やくざ社会に入り渡世の義理で人を斬り３年の刑で送られてきました
この日、網走刑務所に送られてきた者には
強姦、殺人未遂の罪で７年４ヵ月の権田権蔵＝南原浩二
前科５犯のしたたか者です
窃盗、詐欺、置引、売春、無銭飲食…等々前科１３犯
２年６ヵ月の大槻＝田中邦衛
強姦罪の○○待田京介
そして何故か初老の阿久田＝嵐寛寿郎も一緒に送られてきました
雑居房に入れられた新入りは古参囚に
挨拶をかね自己紹介をします
あるものは自分の犯した罪の意識もなく自慢げに披露したり
自分の罪を、誇大に吹聴します
そして押し黙っていた阿久田にも刑は何年かと質問がとびました
阿久田は指折り数え、恩赦の軽減を差し引いても
あと２１年ほど残していますと神妙に応えるのでした
囚人番号４２番、忌み嫌う番号の不可思議な老人です
この牢の名主、依田＝安倍徹は殺人鬼、鬼虎の弟分と称し
房内を取り仕切っていました、自身の罪は放火、殺人で１５年の刑です
古参囚人の桑原、目つきも鋭いですね
同じ新入りの権田は依田に共鳴し、橘はことごとく反抗します
ある夜、示し合わせた依田と権田は橘に襲い掛かり
乱闘騒ぎとなります
喧嘩の責任を取り、懲罰房に入れられた橘は幼い頃を思い出します
自分と幼い妹を飢えさせない為に母秀子＝風見彰子が不幸な再婚を選んだ過去を
養父国造(沢彰謙）の横暴な仕草に耐え切れず母と妹みち子（宗方奈美）を残し
都会に出、やくざとなった身を…
入所から半年たち、まじめに労役に汗を流す橘に
依田たちは点数稼ぎと影で嘲笑するのでした
人から白い目で見られるのを潔しとしない橘は意地となり
体検査の場で騒動を起こしまた懲罰房いきです
保護司の妻木（丹波哲郎）は橘の味方でした
妹みち子からの手紙により母が死の床（乳がん）にあり早く帰ってほしいとの内容です
同情した妻木は仮釈放の手続きを約束するのでした
一方、雑居房では依田を中心として脱走計画が練られています
密告すれば仲間を裏切ったイヌとなり
巻き込まれれば仮釈放も消えてしまいます
この計画を直前になり失敗させたのは同じ雑居房にいた初老の
阿久田（嵐勘十郎）でした
頭に血の上った依田らは阿久田に詰め寄り袋叩きにしようとします
阿久田は依田が兄貴分と呼ぶ八人殺しの鬼虎とは俺のこと阿久田寅吉だと
老いぼれても冥途に行くには道案内人もいる
誰が付き合ってくれるのかと一喝すると
皆、我先にとしゃがみ込み平伏すのでした
獄中５９年の貫録です
ところが、懲りない面々で森林伐採の労役でトラックに載せられた
依田や権田らは荷台から飛び降り脱走を図ります
橘がたまたま、この日手錠で繋がれていたのは権田でした
ひきずられるように飛び降りた橘ですが
他の脱走者はみな捕まるなか、権田は追う刑務官に手傷を負わせ
二人は雪深い山中に逃げ込みます
脱獄囚です
やっともらった橘の仮釈放認可の許可証を破り捨て妻木も
彼ら二人の捜索に駆けつけます
憎しみ合う二人が一つの手錠に繋がれたまま、二人は行動を共にします
自首を促す橘ですが権田は聞く耳も持たず、俺をそそのかしたのは
お前だと証言してやると脅迫しだすような男です
雪原を逃げ惑う二人、最も憎むべき二人にとって
鎖は邪魔もの以外ありません
二人は列車の走る雪原にまで逃げ込んでいました
線路に横たわり列車の重みで手錠を切ろうとの算段です
列車が通過すると
手錠は千切れその風圧で線路外にいた権田は吹き飛ばされ
打ち所が悪く傷を負ったようです
何もかも罪を人に擦り付けようとする権田の性格に憎しみさへ抱いていた橘は
権田を見捨て、死に目の母の許に走ろうと思うのですが
権田がつぶやいた『おっかさーん』の一言に
権田に駆け寄り救いの手を差し伸べます
そこに妻木が駆けつけます
妻木も橘には裏切られ放しです
話を聞いてみるとこの事件の真相は橘の本意ではなく
巻き込まれたことが分かり
二人して権田を救助し病院に運ぶのでした
妻木の懐には橘の妹みち子の手紙が入っていました
母が民生委員のお蔭で手術もでき経過もよいという内容です
網走番外地の主題歌
もとは刑務所の受刑者たちがメロディーに乗せ
囚われた身の心情を替え歌にして歌っているうちに口伝で広まったものです
そのため多くの歌詞が残っています
酒（きす）ひけ等の隠語もあり
要注意歌謡曲Ａに指定されラジオやＴＶからは閉め出されていました
網走番外地は当初の会社側の目論見からは嬉しい大誤算
人気シリズとなり以降１８作品がランクインしました
１作から１０作まで手がけた網走番外地生みの親、石井輝雄監督は
２００５年享年８１歳で亡くなりましたが
墓碑が網走市の塩見墓苑に設置され
安らかに 石井輝雄 高倉健の碑文が刻まれています
また網走市呼人１番地の１、博物館網走監獄前の入口には
映画、網走番外地、撮影地の碑も設置されています
北海道旅行で網走に行かれたら立ち寄りたいところですね
２００６年文化功労章、２０１３年文化勲章を受章した高倉健さん
本名 小田剛一 １８０ｃｍ、７１ｋｇ、Ｂ型
１９３１年（昭和６）２月１６日、福岡県中間市に生まれます
父は旧海軍軍人で炭鉱夫のとりまとめ役を、母は教員の家庭で育ち
東筑高校商業科から明治大学商業学部商学科に入学
大学を出て就職先もなく一旦帰郷
１０か月後の１９９５（昭和３０）年、大学時代のつてで
当時、美空ひばりが所属していた新芸プロのマネージャーになるため上京
喫茶店での面接で、たまたま居合わせていた
東映東京撮影所、所長のマキノ光雄にスカウトされ
東映ニューフェイス２期生として東映に入社
同期に丘さとみ、五味竜太郎、今井健二らがいます
惜しくも平成２６年（２０１４）１１月１０日（満８３歳）でお亡くなりになりました
ご冥福をお祈り申し上げます