月曜日
雨の日、Aさんと車で隣町を走っていたら、歩道でふらふら歩いている雑種っぽい黒い犬を見た。迷子?と思いつつ、一度通り過ぎたが、車も多い通りだったのでやっぱり気になったので引き返した。最初見た地点からはもう200mくらい進んでいた。車から降りて、腰を落として「なんとかちゃ~ん」とねこなで声をかける。なんかの漫画で見た、「初見の犬に気に入られる方法」を踏襲してみた。大体の犬は「○○ちゃ~ん」と呼ばれているので、自分の名前を呼ばれていると思うらしい。まんまと大人しく、「なあに、あたし?」という感じで擦り寄ってきた。まあいい子ちゃん。メス。首輪には今年の狂犬病の予防注射済みの札もさげてる。これだったら役所に問い合わせれば飼い犬登録してあるな、と、その区の保健所に連れていった。車に乗せるときも「はい、ポンしな」と言ったら自分でジャンプして乗った。Aさんが「おすわり」と言ったら、すぐにちゃんと座る。吠えないし、人間にも慣れてるし、今年の注射もしてあるから、これは捨てられたんじゃなくて逃げてきちゃったんだな。
保健所の係の人に預けて、こちらの連絡先も一応残しておく。「今年の札だから連絡先はすぐ出るから大丈夫だと思いますけど、万が一、もし飼い主が捨てていて、殺される処分とかになっちゃうんだったら、電話ください」と言っておいた。いやいやいや、こんなデカい犬、飼えんの?あの狭いワンルームで。でもなあ、せっかく交通事故は防げたのに、人為的に死ぬことになったらイヤだ。まあ、そうなったらなったでこの犬はウチに来る運命なのかもしれん、家ん中は無理だから屋上で飼うか、だめだよ蚊がいっぱいだあそこは、とか諸々Aさんと話しながら帰宅。
そうしたら、じきに保健所から「飼い主見つかりました」の電話が。良かった良かったと思っていたら、飼い主からも電話が来た。ちなみに飼い主は私と同じ区在住。ってことは、だいぶ遠くまで歩いていっちゃってたってことだ。「いい子でしたから、気をつけてくださいね~」と私が言ったら、「いや~、いつも勝手に散歩させてるんですよ。今日は雨だけど、なんか遠くまでいっちゃったみたいで。大人しいからいつも人にこうやって捕まっちゃうんですよね~」と悪びれた様子もなくへらへら話すおっさん。
ブッチーン。
「犬を放し飼いにしてたら交通事故に遭って死ぬんですよ。もう二度と放して歩かせないでください」とさっさと言って切った。
あーあったまきた。今の私が神経質になりすぎてるんだけどさ。シーザーが居たときは、何が一番怖いってリードが外れて交通事故に遭うことだったから。一度、私のリードをつけた箇所が甘くて、散歩中に外れてしまってシーザーがイヤッホウと幼稚園くらいの女の子を追いかけて飛んでいってしまったことがあった。びっくりして走って逃げる女の子。追いかけっこだと盛り上がって益々スピードを上げるシーザー。女の子に、「止まって!走ると余計に追いかけるから、止まっても大丈夫だよ!噛まないよ!」と声をかけても彼女はパニックで止まれない。あのときは焦った。今ここに車が突っ込んで来たら女の子もシーザーも終わりだ、と青くなって、「シーザー!おいで!」って向こう20件に聞こえそうな声を張り上げた。女の子は家と家の間の狭い通路に逃げ込み、シーザーは私の怒声に固まってそこで捕獲。人間も犬も無事でよかった…今思い出してもひやひやする。
で、話を戻して、あんたの犬が一人歩きして事故で死んでも後悔しないんだなおっさん。ま、しないんだなこういう人は。きっとあっさり「犬畜生だからしょうがねえな」って思うんだろな。まあいい。別にあんたの犬に対する気持ちなんかどうでもいい。もう全然ノットマイビジネス。
だけどなあ、その犬がそこらにフンをして歩道や公園や店先を汚すんじゃい。犬が苦手な子どもを追いかけてケガをさせるかもしれない。もし誰かが交通事故で犬を殺してしまったらその運転手は罪悪感にさいなまれるんだ。放し飼いによって他の人間に迷惑かける可能性が沢山あるんだよ、そういうことに責任持てないんだったら犬飼うのやめちまえキー。
ああここまで言ってやりゃ良かった。