一見、ありきたりな学園モノに見えるが、かなり


難解な作品である。というのは、主人公・メイン


ヒロインその1・メインヒロインその2と、3人とも


セリフを文字どおりに解釈できないキャラだから


である。





普通、国語のお勉強では登場人物のセリフなど


を根拠に物語を読解していくわけだが、優姫の


ようなツンデレキャラや、硬派ぶって素直になれ


ない主人公、妹という立場ゆえに無意識的に


自分の気持ちを押さえこんでいる湊はセリフを


文字通りに、あるいは単純にセリフがウソで


本当の気持ちはその逆だと解釈すると、


間違った理解をしてしまうからややこしい。




どういうことかというと、物語の序盤から中盤に


かけて優姫は主人公のことを「あんなやつなんとも


思ってないんだから!」みたいなことを何度も言うが、


こういうツンデレセリフを文字通りに解釈するのは


明らかに間違いだし、かといって、ツンデレセリフ


だからといって「本当は主人公のことが好きなんだ」


と解釈するのも間違いなのである。





では正解はというと「主人公のことが気になって


しょうがない気持ちが50%で、主人公に対する嫌悪感が50%


」というのが正確な解釈となる。優姫の場合、普通の


ツンデレキャラより嫌悪感の割合が高めなのが特徴


である。





最初の出会いで知らない男から助けてくれたのは


最高に好印象だったが、次の日いきなりキスされた


ことについては本当に深く傷ついており、後日それを


蒸し返して身勝手な言い訳をされたことによってさらに


傷ついている。





それでも最初の印象が良かったので、主人公は


ドツかれるだけで済むばかりか、ドツくのも一種の


コミュニケーションとなって、優姫が気を許せる唯一の


異性であり、なおかつ気になる唯一の異性となっている。


ゆえに、優姫のツンデレセリフは好きと嫌いが半々


くらいなので、解釈が難しいのである。




主人公のセリフも解釈が難しい。幼なじみ二人が


言ってるように「見栄っぱり」で「かっこつけ」な上に、


無意識レベルで妹に対する気持ちを抑えつけている


(妹なのに好きになってしまったと悩む姿は見られない)ため、


行き場のなくなった異性を求めるエネルギーを優姫に向けて


いることがある。





ゆえに「湊とは何もない」とか「俺もおまえのことをよくして


やりたいけど、どうしたらいいかわからないんだ」といった


セリフの解釈は単純にはいかない。





湊とは肉体的接触こそないものの、精神的なつながり


があるので、何かしたわけではないが、何もないという


のも違うのである。そして、優姫のことをよくしてやりたい


という気持ちは確かにあるのだが、その気持ちは本来、


湊に向けられるはずの気持ちであり、無意識的に抑え


つけた結果として優姫に向けられたものにすぎない。


ゆえに、本当の気持ちとは言えないし、全くのウソと


いうわけでもないのだ。





ということを、最終話でご丁寧に中学生時代の主人公が


解説してくれる。その解説なしでは主人公を理解するのは


難しいと思う。





湊も主人公と同様に「兄妹だから恋仲になってはいけない」


「優姫は兄の許婚だから」と無意識レベルで主人公に対する


気持ちを抑えつけている(終盤までセリフとして表れない)ので、


はっきり言って、どこからどこまでが本当の気持ちで優姫と


主人公をくっつけようとしてたり、周囲にからかわれても


笑ってごまかしていたのかよくわからない。湊の言動には


むしろ余裕すら感じられた。





序盤から主人公のことを異性として意識している描写は


あったものの、それが反映されるような行動は全くとらない


ので、主人公から迫らない限りは何も起こらないんじゃないか


と思っていたが、9話のラストで自分の本当の気持ちに


気付き、10話のラストで主人公に抱きつくようにして触れて、


やっと本当の気持ちを表した。





たいてい妹キャラというのは、初めからデレデレしており


「兄妹でさえなければくっつきたい」と、かなり態度に表れて


いるものなのだが、湊の場合は態度になかなか表れない


のでセリフの解釈に困るのである。





こうした解釈の難しさは「(デートに)誘っても嫌がると思った」


「あいつは本当は私のことどう思ってるんだろう?」といった、


キャラ同士のセリフにも表れている。





8話までは、主人公と優姫の仲が「良くなったと思ったら


悪くなった」の繰り返しで、周りのキャラが言うほど仲は


進展していない。9話で優姫が主人公のことを一気に


好きになり、湊がそれを見て自分の本当の気持ちに


気付いたことにより、ようやく変化が訪れた。





結局、主人公は荒れてた頃の自分と会話して挑発&説得


されたことにより、本当の自分の気持ちに気付いて妹である


湊を選んだ。





この物語を通して主人公は、優姫が状況をひっかきまわした


ことにより、何者にも惑わされぬ心で妹と付き合えるようになった。


考え方自体は過去の自分に教わったものだから、前向きに


退行したと言える。でも、前向きならそれでいいのかもしれない。





煮え切らない仲の二人のもとに、もう一人異性が混ざったら


二人の絆は瓦解するのではなく、より強固なものになりました


というそんなお話でした。