牧村朝子『「俺、ゲイじゃないから参加できないんじゃね？」日本のプライドパレード参加者が少ない理由』

「俺、ゲイじゃないから参加できないんじゃね？」日本のプライドパレード参加者が少ない理由

500種類以上。

－同性愛が確認されている動物の数。

たった１種類。

－同性愛嫌悪症が確認されている動物の数。

引用：youtubeコメント

明日11日、東京・渋谷で、

例えばレズビアンのような「男と女」に縛られない生き方を祝福するお祭り

「緊急開催！Save the Pride（セーブ・ザ・プライド）」が開催されます。

プライドパレードとは、世界数十ヶ国で開催される、誰もが参加できるイベントです。

「自分はゲイでもレズビアンでもないから、参加できないんじゃない？」

「参加したら自分がゲイとかレズビアンに間違えられるかも」

「パレードってゲイとかレズビアンが同性結婚の権利を訴えるものでしょ？

自分はゲイ/レズビアンだけど、デモなんてしないで静かに暮らしたい……」

ぜんぶ、誤解です。

ゲイ・レズビアンであるかどうかは関係ない。主張するもしないも自由。

誰だって自由に、自分なりに楽しんでいいんです。

その証拠に、世界のプライドパレードの様子を見てみましょう。

参加者1,000,000人。

レディ・ガガがライブ。

－2011年、イタリア・ユーロプライド

参加者500,000人。

ゲイであることを理由にナイフで襲撃されるも一命をとりとめ、

パリ市長に再選されたベルトラン・ドラノエ市長が行進。

もちろん、ゲイではない人も多数参加。

－2012年、フランス・パリゲイプライド

参加者100,000人。

前年、同性愛者支援施設襲撃事件で犠牲者が出たにも関わらず、

テルアビブ市の主催で開催。多くの共感を呼ぶ。

「私は同性愛者ではないけれど…愛を広めよう、みんな！」

－2010年、イスラエル・テルアビブゲイプライド

参加者2,800人。

厚生労働省・東京都の後援がつき、

渋谷区長・新宿区長から祝福のメッセージが贈られる。

ただし、東京都知事からのメッセージは無し。

－2007年、東京・プライドパレード

1,000,000人を集め、レディ・ガガが呼べるほどの予算で開催されるユーロプライド。

2,800人の参加者だった東京プライドパレード。

この数字の理由は、関係者ががんばらなかったから、などではなく、こんな事情があるんです。

日本のプライドパレード参加者が、世界で並はずれて少ない理由は……。

「ゲイ/レズビアンの世界」「そうでない世界」の間に壁がある。

「プライドパレードに好きな芸能人出るけど、参加したらゲイ/レズビアンだって間違えられるから……」

「ゲイ/レズビアンの人に、自分は同性愛者じゃないけど参加したって言ったら変な顔された」

「私はバイセクシャルだけど、ゲイ/レズビアンの人に差別されたら悲しいから行きたくない」

「私もパレードで歩きたいけど、パレードで歩くと同性愛者だと思われるから、万一職場の人に偶然見られた時に困る」

こういう理由で参加者が集まりません。

そのうえ

プライドパレード報道時、メディアがいわゆる「オネエ」ばかりを映す。

参加者と同じように、マスコミ関係者もプライドパレードのことを

ゲイ・レズビアンのためのデモだと思いこんでいるので、

たとえばパレード参加者の中から「オネエ」っぽい人だけを映したり、

バイセクシャルやトランスジェンダーや異性愛者（男と女、というあり方の人）

の参加者がいるにもかかわらず

「同性愛者らがパレード　同性結婚の権利求めて」みたいなタイトルで記事を書いたりします。

よって

スポンサーがつかない。

「同性愛者のイベントに協賛なんてしたら、うちの企業のクリーンなイメージに傷が付く」

「同性愛者のイベントに協賛しても、同性愛者なんてほとんどいないんだから宣伝効果がない」

「プライドパレードって何？ＬＧＢＴって何？ああ、オネエのデモね。ふーん」

参加者数やマスコミの報じ方からこういう誤解が広まってしまうので、

日本のプライドパレードは海外に比べ、スポンサーがごく少ないです。

また内訳も、外資系企業か当事者向けビジネスの企業がほとんどで、

日本資本の企業はほんの一部に限られます。

はっきり言います。

日本は完全にグローバルスタンダードから遅れています。

「自分はゲイでもレズビアンでもないから、参加できないんじゃない？」

よその国なら、「え、なんで？関係ないじゃん、一緒に楽しもうよ！」って言われます。

「参加したら自分がゲイとかレズビアンに間違えられるかも」

よその国なら、「それはそういうこと言う奴が狭い世界に生きてるだけだよ」って言われます。

「同性愛者のイベントに協賛なんてしたら、うちの企業のクリーンなイメージに傷が付く」

よその国なら、「あの企業の広報は差別主義者だ」って抗議が来て取引先がいなくなって社員からも見切られて経営が傾きかねないレベルの発言です。

もちろん、「グローバルスタンダード」なんて言葉に惑わされない、

「よその国はよその国、うちの国はうちの国」という考え方も大事です。

が、「自分の頭で考えた意見があるから参加しない」というよりは、

「企業のイメージや自分のイメージを考えて参加できない」人が多く見られるのが現状ではないでしょうか。

8月11日、Save the Prideの企画の一つとして、

「レディ・ガガが日本のプライドのために歌ってくれるようみんなでビデオメッセージをつくる」

というものがあります。

日本のファンの声に、世界的スターが応えてくれたとなれば、

8月11日のことは世界のメディアが報じるでしょうし、日本社会にも変化があるでしょう。

私はガガ様みたいなセレブリティではないけれど、

あなたと手を携えて、必ず日本社会を変えたいと思っています。

もう二度と、「自分は同性愛者なんかじゃない」って苦しんで自殺まで考える人を出さないために。

もう二度と、「同性愛者？俺のこと襲わないでよ（笑）」なんて言って悪気はない誤解で友達を傷つけてしまう人を出さないために。

そしてこの先の未来、「あの企業が同性愛者差別？じゃあ取引をやめよう」なんて言われて日本企業が取り残されることがないように。

ぜひ8月11日、11時から17時までの、渋谷・代々木公園Save the Prideに参加してください。

多数の出演者の方といっしょに、わたしもステージで司会として精一杯がんばります。

迷っている方や遠くに住んでいる方は8月10日、今夜8:45からのネット放送をぜひ見てください。

http://com.nicovideo.jp/community/co1300707

みんなで楽しみながら、日本がもっと住みやすい国になるように、

日本の人たちがもっとお互いを理解しあって愛し合っていけるように、

ひとりひとりの手で、歴史を変えていきましょう！

8月11日を、世界的なニュースにしましょう！

熱くなりすぎて長々と語ってしまったけれど、読んでくださってありがとうございます。