牧村朝子『レズビアンチャンネル バイセクシャルの視聴者の方から』

レズビアンチャンネル　バイセクシャルの視聴者の方から

まきむらよ！

【生放送】まきむぅ＆こゆたんのレズビアンチャンネルで、以前、「レズビアンもバイセクシャルを差別するよね」「結婚しているバイセクシャルは『浮気者』とか『結局男に走った』みたいな誤解を受けるよね」という話題を扱いました。

その件で、バイセクシャル当事者である視聴者の方から、大変深い問いかけを含んだメールを頂戴したので、ご本人の了解を得て、匿名で転載させていただきます。

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日本に住むことがどうしてこんなにも窮屈なのか、どうしても分かりませんでしたが、自分と違う人はことごとく排除したがる社会だからなんですね。特に上の世代はこの社会を何の疑問もなく受け入れていると思います。恐らくそのほうが周りからとやかく言われないし、自分さえ我慢すれば、という自己犠牲精神が美徳だからかも知れません。

自分自身と向き合うことって大変なんです。１日でできることではないし、年齢と共に人は変わっていくから。だけど自分と向き合うことを辞めてしまえば、満足のいく人生を送ることが難しくなる気がします。

さらに、年を重ねるごとに、仕事と家の往復だけしていればいい、という生活はできなくなってきます。特に若い時からセクシャリティに疑問を抱き続けている人達にとって、「黙っていればいるほど、普通の生活が苦痛になって、ひどい場合は心を病んでしまう」からです。今の私がそうです。いくら旦那さんの理解があると言っても、旦那さんは当事者ではないので、セクマイの苦しみを分かってあげられません。配偶者からの理解だけでは限界があって、やっぱり当事者同士が助け合って、今の状況をよくしていかないといけない、と切実に感じています。

セクシャルマイノリティの世界にしても、バイは常にゲイやレズビアン、ヘテロの板挟み。私が旦那さんと子供を連れてゲイのサポートグループへ出かけた時、ゲイの人達にすごーくヘンな目で見られました。「バイの女が男と結婚して子供まで作ってる！何この女！？」みたいな目つきですごく悲しかったです。ヘテロの人達からは、いくらカミングアウトしても「でも旦那さんは男で子供もいるじゃない！」と「女のバイは存在しない」ことにされてしまいます。女は子供を産んだら「母親の役割」だけをこなせばよくて、自立した女でいる必要はない、ということなのでしょうか？

現実的には母親であるべきなのは、人生のほんの一瞬で、子供は嫌でも親元を離れます。いくら血が繋がっていても、子供は親の所有物ではなく、別人格。「母親だけをすればよい」というのが本音だとすると、女であること＝子供を産み育てることだけ、としか考えていない、あまりに傲慢な考えだと感じてしまいます。

セクシャリティって、東さんが言うように、もっと多様性があって、一つに決めることができないのではないか、と感じてしまいます。正直のところ100%ゲイかビアン、またはヘテロ、というのは、殆んどないのではないか、と思ってしまうのです。私は男性にも女性にも性的な魅力を感じてしまうので、バイだと思っていますが、学生時代に女の子（ヘテロの子でした）に振られてからは、セクマイ以外の一般の女性に対して、女性を性的な目で見てはいけないのではないか、と思ってしまうようになったのは確かです。女の子と付き合ったことはないけど、どちらも恋愛対象になりうるので、バイだと思っているんです。

どちらにしても、セクマイに対して、まだまだ偏見が根強くあるのは確か。セクシャリティは本来「何でもアリ」なはずなのに、「異性を好きにならないと変。心と体の性別が一致しないなんて変」という考え方が、人間をがんじがらめにしてる気がします。

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世の中に、絶対的なマイノリティというものは、ありえません。

誰がマイノリティになるかというのは、環境によってさまざま。

例えば、「男を愛する女」の中ではマイノリティであるレズビアンも、レズビアンパーティに行ってみれば、そこではマジョリティになります。そしてそこでは、バイセクシャルやＭｔＦレズビアン（男性から女性になろうとする/なった性同一性障害の方で、女性を愛する方）がマイノリティになる。そういう方々が、レズビアンからの差別・偏見を受けたというならば、それは本当に悲しいことですし、誤解を埋めて直さなければいけないことです。

あらためてわたし自身、考える機会をいただいたメールでした。

いつも考える機会をくださる視聴者の方に、あらためてお礼を申し上げるとともに、番組としてすこしでも差別・偏見を埋めていくことに貢献できればと願ってやみません。