牧村朝子『「ゲイが結婚式してる！」って通報を受けたベトナムの警察の対応がイケメンな件』

「ゲイが結婚式してる！」って通報を受けたベトナムの警察の対応がイケメンな件

$牧村朝子オフィシャルブログ「まきむぅとレズビアンライフ」 powered by Ameba

写真：すないぱーeⅢさん

パリ、さむいわー。12度ですって！

まきむらよ。

「1分でわかる！ニュースも読める！世界9ヶ国のレズビアン事情」

読んでくださった方、twitterで広めてくださった方、ありがとうございます

タイ、シンガポール、フィリピンなどはどうですか？　という質問を頂きましたが、ごめんなさい、あんまり詳しくありません。

ただ、タイはセクシャルマイノリティに優しい国として知られていますよね。たとえば日本の性同一性障害の方が、タイで性別適合手術を受けるための医療ツアーがあったり、

▲らばＱ「タイの高校にニューハーフ用のトイレができる」

男でも女でもない人が迷わず入れるおトイレを作った……という実績があったり、それがタイです。

▲ベトナムネット「同性愛者カップルの結婚式を地元当局が黙認」

わたしの彼女の二つ目の故郷、ベトナムでも、都市部ではだんだん偏見がやわらいできているみたい。

今年4月、結婚式中のレズビアンが近所に通報され、双方の親に「別れます」という誓約書を書かされた……という悲しいニュースがありました。けれど、今年5月にゲイカップルの結婚式が通報されたときには、警察は

野次馬だけ帰らせて結婚式を見守った

みたい。警察の対応まじイケメン……！！

▲ＨＲＷ「ギリシャ：移民たち　街頭での恐怖を訴える」

「いろんな人がいるんだよ」ということを受け入れることができるのは、社会が成熟していてこそです。だから、国が幸せになればなるほど、いろんな人が生きやすくなります。

今、ギリシャやウクライナなど社会不安を抱えた国では、「仕事がない。移民が奪ったからだ。ガイジンを殺せ！」と言って貧しい若者を駆り立て、「ネオナチ」と呼ばれる勢力が力をつけています。

これは「俺たち以外の人種と同性愛者は人類に邪魔だから処分しろ！」と言って、たくさんのユダヤ人や同性愛者たちをガス室に送った、ヒトラー率いるナチス・ドイツの流れをくむ団体です。

ネオナチはたとえば、外国人が経営する店に行って「お前らはギリシャ人の仕事を奪っている。閉店しろ！そうしないと放火するからな」と言って脅したり、見るからに外国人だという人やゲイパレードの主催者に集団で暴力を振るったりしています。

まあ、ネオナチのみなさんの考え方も「多様性」のひとつでしょ、って言われちゃったらおしまいなんだけど。でも、待って。あなたは外国人の店を襲う前に、自分で起業して、しっかり働いて、ギリシャ人の働き口を作り出す努力をしたのかしら？

こういうふうに「外国人」「同性愛者」など、「自分たちの仲間じゃない」人に暴力を振るう人たちの言うことは、だいたいの場合、言い訳でしかありません。前向きな努力をなにもしないまま、とりあえず「自分と違う」人たちに攻撃することで安心感を得る。

なにか悪いことが起こったときに、

「これは自分たちのせいじゃない。あいつのせいだ」

と思いたい。

「俺たちがあいつを管理する。だから俺たちは強くて正しい」

と思いたい。

社会不安のもとで、大人たちの差別・偏見、子どもたちのいじめの構図はよく似ています。

フランスの思想家ルネ・ジラールは、「身代りの子羊」（スケープゴート）という本でこのことを論じています。残念だけれど、差別・偏見・いじめという犯罪でスケープゴートを作りたがるのは、人間の本性であり、そういうものは人間が人間である限りなくならないのです。

だけれど、それを踏まえたうえでなにができるのか？　ということを考えて、悲しい事件を減らしていくことなら、できるわね。

ちょっと暗い話題が続いちゃうけど、次は「あなたらしく生きることは違法～もしも青い瞳が犯罪になったら」という短編ドラマを翻訳します。

世界ではまだ５カ国が、同性愛者を同性愛者であるという理由だけで処刑しています。そういう国々に外国人が意見することは、果たして「違う国の文化に対して失礼」なのか？　それとも「同じ人間として正しい」のか？　いっしょに考えてみましょう。