中学聖日記第5話(11月6日放送)のネタバレはこちらです。


花火大会の後、砂浜でついにキッスをキメた聖と晶。
2人仲良くタクシーで聖の部屋へ向かったが、
マンションの前で聖の婚約者・勝太郎に
鉢合わせ。
さらに、その場には晶の母親も待ち構えていた。
何だこの地獄すぎる展開www
というところで前回は終わったんだよね。
第5話はその続きから。


聖は、晶とつないでいた手を慌てて離す。
そして、晶から借りて履いていたサンダルを脱ぎ、晶の足元に置いた。
勝太郎は無言で聖の肩を抱き、彼女の部屋へと向かった。
「勝太郎さん、私話さないと…今までのこと、さっきの…」
「いいよ、言わないで。…信じてる」
本当に信じてる相手には、「信じてる」なんてわざわざ言葉にしない。
それは「裏切るなよ」という忠告、牽制なのだ。
この夜、勝太郎は、この件について聖に話をさせる隙を与えなかった。

一方、晶の家では。
ひたすら無言で家事をする母親。
それを見ていた晶が口を開く。
「俺からずっと…ずっと先生が好きで、好きって言い続けて…そしたら先生も俺のこと」
「馬鹿なこと言わないで!!!!!あんたはまだ中学生…子供なの。忘れなさい」
「嫌だ」
「もう二度と会わせないし、こんなの絶対許さない!!」
「どんなに反対されても関係ないよ!」
「あんたがどう言おうと、この先、付き合うなんてできない。母さんだけじゃない、
世間が許さない!だからこれでもう終わ…」
「終わりじゃないよ!!!いつか先生と結婚する」
ここで母さんのビンタ炸裂!リプレイありw
「寝ぼけたこと言わないで!!!顔洗って目ぇ覚ましなさい」
無言で立ち去る晶。部屋のベッドにダイブして、ふーっと息を吐く。
仰向けになり、右手を見つめる。聖とつないでいた右手。
このままオナヌーか…と思われたが、それはしなかった。そういう場面じゃねーよ!w

その頃、母親は、晶の父親から送られた封書を見つめていた。
インドネシア、バリからのエアメール。
出て行った父親は、晶に会いたいという内容の手紙を母親に送ってたんだけど、
母親はそれを晶には伝えず、手紙の存在も隠してたんだよね。

翌日、部屋で一人で過ごしていた聖のもとに、勝太郎からメッセージが届く。
「今、大阪着きました。また夜連絡します。」
聖はスマホをそっと置く。以下、聖の心の声。
「相手は生徒…何やってるの私。生徒相手に」
机の引き出しから便箋を取り出す聖。まさか退職願か!?

そこに中学校から電話がかかってくる。
電話の主はオバチャン先生で、「今から学校へ来ていただけますか」とのこと。
重々しい口調。すでに修羅場の香りしかしない。

晶は、家の引き出しを漁りまくって何かを探していた。
そこへ晶の母親の仕事仲間であるおっちゃんがやって来て、晶に声をかける。
「携帯ならないよ。社長(=晶の母)が解約するって。今日、学校行った帰り」
「学校!?」
お母さんが学校へ乗り込む!!!やっぱりそうなるよね。
晶、スマホ没収とかww気の毒だわ…。

ネイビーのパンツスーツ姿で学校へやって来た聖。
誠意の表れとしてのスーツ。女っぽさを封印するためのパンツスタイル。
ですよね、分かります。
意を決して部屋へ入ると、晶の母親とオバチャン先生が座って待っていた。
二人の前に座る聖。
オバチャン先生が切り出す。「あなたには、淫行の疑いがあります。
着任してから今まで、そして昨夜、何があったかすべて話してください」
まだキスしかしてません!淫らな行為はしてません!!
聖はしばしうつむいた後、顔を上げて話し始めた。
「黒岩くんは…今思えば最初から、どこか違う生徒でした。
着任早々何をやってもうまく行かなくて、自信を失っていたときに、黒岩くんは、
私が教えたことを楽しそうに覚えてくれて、こんな私を頼ってくれて、
教師として未熟だった私は、自分に好意を寄せてくれている黒岩くんに……
支えられたんです。
結婚を控えて不安なのもありました。彼との新生活、うまく行くかどうか。
そういう現実より、黒岩くんと一緒にいると、ドキッとしたり、学生時代に
戻ったみたいに切なくなったり。
そんな気持ちが黒岩くんにも伝わって、ますます歯止めが効かなくなって。
昨夜も、花火大会の帰り、二人で会って…キスをしました。反省しています。
浅はかで、愚かでした。」

キスのくだりで、オバチャン先生が口をあんぐり開けて驚いてたのが印象深かったですw
退職願を差し出す聖。
「教師は辞めます。もう二度と黒岩くんには近づきません。」
ここで晶の母親が静かに立ち上がる。そして静かに話し出す。
「晶が生まれたとき、3080グラムでした。すぐに黄疸がひどくなって、保育器に入りました。
夜泣きも激しくて、手のかかる子でした。
40度の熱が出て、口から泡吹いて意識がなくなった時、救急病院に駆け込んで。
地震かと思ったら、自分の体が震えてた。
言葉は遅かったから、毎週図書館で絵本を3冊。寝る前に読み聞かせて、
いつの間にか二人で寝て。
そんなふうに、毎日、一生懸命育ててきたのは、息子を一人前にするため。
立派に人生を歩んでもらうため」
母親は、聖のそばへ歩み寄る。
と思ったら聖の腕を掴んで立ち上がらせた!!
「あなたに楽しんでもらうためじゃない。あの子は、あなたへのプレゼントじゃない。
結婚への不安?そんなのどうでもいい!!
あんたの退屈しのぎに、なんでうちの晶が、利用されなきゃいけないのよ!!!!!」
オバチャン先生が止めに入り、母親は席に戻る。
机の上に置かれた退職願を聖のほうに差し戻しながら、オバチャン先生が言う。
「あなたが、進退を勝手に決められると思いますか?
神奈川県青少年保護育成条例第31条。
何人も青少年に対し、淫らな性行為またはわいせつな行為をしてはならない。
それは、処罰の対象です。教師としても人としても、あなたは失格です。
これから校内で対応を協議します。結果が出るまでは自宅謹慎。
学校には来ないように。生徒とも、決して接触しないように」
「はい、分かりました。本当に、申し訳ありませんでした」
深く頭を下げる聖。

この案件、聖が一方的に生徒に好意を寄せ無理矢理キスした、とかでは断じて無い。
双方の合意があったどころか、先に好きになったのは晶のほうな訳で。
それでも聖は罰せられる。それが淫行条例だ。
自主的に退職しようと思ったら、懲戒処分の可能性を示唆されるというね。
わりと最悪の展開だ。つらい。

その頃、居ても立ってもいられなくなった晶は、家を飛び出し学校へ向かう。
校舎へ向かう坂道を登り切ると、廊下を歩く聖の姿がちょうど見えた。
「先生!!」晶が叫ぶ。
晶を見た聖は、何も言わずうつむいた。
「先生…大丈夫ですか?うちの親、先生に何て…」
「いいから、もう帰りなさい」そう言って聖は歩き出した。
追いかけようとした晶に、オバチャン先生がひょっこり現れ声をかける。
「黒岩くん、何やってるの。処分が出るまで接触禁止です」
「処分…!?」
晶は走り出し、急いで聖のもとへ向かう。
校舎の階段を勢いよく駆け上がると、ちょうど降りてくる聖に出くわした。
晶を避けるように、来た道を戻ろうとする聖。
晶は聖の手を掴み、問い詰める。
「処分ってまさか…学校辞めるんですか!?」
手を振りほどこうと抵抗しながら、聖は「そうよ」と答える。
晶は手を離さない。「もう会えないんですか!?」
「そうよ」
「結婚するんですか」
「…そうよ。ごめんなさい、もう忘れて」
「嫌だ」
「あれは間違いだった。いけないことなの!」
「なんで」
「あなたが15だから!!!!!」

それを聞いて失望したように、晶の手は力を失った。
年齢というどうしようもない理由で、こんなにも恋がうまく行かないことへの失望である。
立ち去る聖に、晶が「先生…!」と声をかけると、どこからともなく現れた眼鏡の先生が
晶を押さえた。オバチャン先生も合流。
晶が吠える。「先生を辞めさせないでください!僕が辞めますから!
僕が学校を辞めますから!!」
「あなたは辞めることはできません!」
「じゃあもう、話しません。先生の顔も見ません。諦めます。だから、
先生をこのまま学校に…お願いします!!」
そんな晶の声を聞いても、聖は表情を変えずに廊下を歩き続けた。

校舎を出ると聖は、晶の自転車が倒れているのを見つけた。
自転車を乗り捨てるようにして、慌てて自分のところへやって来てくれたのだ。
そして、聖に辞めないでほしいと必死に叫んでくれた。
無造作に置かれた自転車に、そんな晶の姿を思い浮かべたのか、表情を変えずにいた聖は
ここで初めて泣いたのだった。

聖の婚約者・勝太郎は、聖と一緒に暮らし始める予定である旨を同僚に笑顔で話していた。
その様子をじっと見るクールな先輩女子。
休憩室で一息つく勝太郎のもとへ、先輩女子が現れる。
「おかしい、そして怪しい。ゆうべ、花火大会で聖ちゃん、あんたの電話に
なかなか出なかったり、どこにいるか分からなかったり、
様子が変だったのに急転直下、一緒に暮らすことになった訳?へぇー…。
何があったの?昨夜」
「ですから、あの後話し合って、聖が学校辞めて一緒に暮らすことになった。
そういう自然な流れですよ」
「教師辞める?あんなに一生懸命だったのに?不自然極まりないけど」
「…。なので…原口さんのリクエストに…その、お応えする訳には…」
リクエストってのは、第4話ネタバレ参照でお願いします。
要するに先輩女子は振られてしまったのだ。
先輩はほんの少しの間、顔を背けて、すぐに向き直るとニコリともせずに
「おめでとう。良かったじゃない」と言って立ち去った。

その頃、晶は自転車で聖のマンションの前までやって来た。
そのすぐ後ろには、母親の仕事仲間のおっちゃんがいる。
晶を監視するため追いかけて来たみたい。
おっちゃんが「やっぱりここか…ダメだよ!」と晶を止める。
「よく考えて。晶くんが今、先生に会ったり話したりすればするほど、
先生は立場悪くなるんだよ。先生のことを大事に思うんだったら、今は会っちゃダメ」
とか言ってるうちに、晶が自転車を置いて走り去る。聖の部屋の方へではなく、逆方向へ。

「聖ちゃんが謹慎になった!!!」晶のクラスメイトの坊主くんが、外で遊んでいた
同じクラスの女子たち(岩崎さん含む)に声をかけた。
坊主「さっき黒岩が来て言ってた」
女子「謹慎って、なんで末永が…」
岩崎さんには、思い当たる出来事があった。花火大会の夜…(第4話ネタバレ参照)
岩崎さんが尋ねる。「もしかして、黒岩と何かあった?」
「二人で会ってたのを親に見つかったとか?」「何それ淫行?」
「ねえ、黒岩は今どこ?」岩崎さんが坊主くんに尋ねる。
「それが、金貸せって…」
「お金?」
「なんで」
「行きたいとこがあるからって」
駆け落ち資金かしら?と思ったら甘かった。
晶は勝太郎の職場に来ていた!大阪まで行っていたとは!!!

会社の出入口付近で、晶が警備員に尋ねる。「建設産業部の…川合勝太郎さんいますか」
そこに勝太郎の先輩女子がタイミングよく通りかかる!そして晶に声をかける!
「君…黒岩少年?」

先輩女子と晶は、外のベンチで話すことに。
「あの…川合さんは?」
「出張。悪いね、せっかく来てもらったのに。聖ちゃん謹慎かあ」
「僕のせいで…」
「で、川合に会ってどうする気?」
「わかりません…」
「聖ちゃんをくれとでも言うの?」
「言ったら、くれますか?」
「くれないだろうね」
「会えば何か変わるかな、とか、話したら分かってくれるかな、とか、いろいろ考えて…
僕には、聖ちゃんしかいないから」
「なんか…いいね、それ。この人しかいない。そう思えるのっていいね。
なんにもないようで、すごく持ってる感じがする。さすが、少年」
「黒岩晶です」
「君はただの少年。だからもうお家に帰りなさい。きっとお母さんが心配してる。
これ以上うろついたら、おまわりさんに補導してもらうよ。
悔しかったら、早く大人になれ、少年」
晶は「ありがとうございます」と言うと、先輩女子が買ってくれたコーヒーを持って
ゆっくり歩き出した。

一方、聖は部屋にある物をダンボール箱に詰めて、引っ越しの準備に取り掛かっていた。
机のそばにあったアルバムに目が留まり、手に取って写真を見る聖。
勉強合宿や体育祭での、クラスの集合写真を見ながら、涙をこぼす。

晶が大阪から帰って来た。
家に着いた頃にはもうすっかり夜で、母親が家の前で待っていた。
「もし今度勝手な真似したら、教育委員会に電話して、あの人即刻クビにしてもらう!
脅しじゃないわよ。あんたがここまでおかしくなって、手のつけられなくなった原因が
あの人なら、責任は取ってもらう。
もしそれが嫌なら、ここにいて、おとなしくして」
「…わかった。何でも言うこと聞くから。勉強しろって言われればするし、
先生のこと諦めろって言うなら……そうする。だから」
晶は母親に土下座しながら言う。
「お願いします、先生を辞めさせないでください。お願いします、お願いします…」
「とにかく学校から、連絡来るの待つから」
母親がその場を離れても、晶は頭を下げたまま「お願いします…」と言っていた。
反抗期で母親に多くを語らなかった晶が、こんなことを言うなんて。
切ないね。お母さんの心中お察しします。

別の日、夏休み中の学校へ岩崎さんがやってきて、オバチャン先生に尋ねる。
「末永先生、学校辞めるんですか?
お願いします、教えてください。黒岩と何があったんですか?
ニュースになるようなことですか?だったらクビですよね?
男の先生だったらダメで、女の先生だったらいいなんてこと、ないですよね?」
オバチャン先生が岩崎さんに尋ねる。「末永先生に辞めてほしいの?」
「たぶん…はい。でもそれは、先生が大嫌いとかじゃなくて、別に好きでもないけど…
でもそれより自分がどんどん嫌な子になるから、自分じゃ止められなくて…つらいです」
聖に対する嫉妬心を抑えられずにいた岩崎さん。彼女もまた、苦しんでいたのだ。

聖の部屋に、例の年上の女友達が訪ねてきた。
この人すげー頻繁に遊びに来るよなw
聖の処分について気にかける女友達。
聖によると、さっき学校から連絡があり、退職届を依願退職として受理してもらえる
ことになった、とのこと。
懲戒処分なし。よかったね!!
「それより、黒岩くんに申し訳なくて。ぶつけてくれた気持ち、受け止めることも
受け流すこともできなくて。ほかの生徒たちにも、何一つ指導できずに…。
もともと向いてなかったんです。教師は、もう辞めます」
「やめてどうすんのよ」
「勝太郎さんは大阪に来いって言ってくれて。でも、今のままじゃ甘えるばかりで…
とりあえず一度、実家に戻ろうかと思ってて」
「うーん、わかった…なら行くよ!」女友達が立ち上がる。
女友達は車を出して、聖を実家まで送ってくれたのだ。
実家の前で、女友達が聖に言う。
「行って報告しな、ご両親に。生徒好きになって学校クビになったって。
あんた本当ちゃんと考えた?何でこうなったか。なんであれだけ言ったのに、
教師と生徒の線を踏み越えて行ったのか」

えぇー、わたくし的にはこの女友達、晶のことが気になり出した聖を煽ってたようにも
見えたんですが。
相手は生徒だから行ったら終わる、みたいなこと言いつつ、自分に嘘つくのやめなよ、
とか言ってたんですよこのお友達は。
正直、ここに来てお説教かよwという印象。まあいいかその話は。

お友達のお話が続く。
「あんたにとってさ、教師ってそんなもんだったんだ。そんなに簡単に手放せるもの
だったんだ。
こうなったらせめて、最初から応援してくれてる親御さんに、隠さず事情を説明して」
そんな話をしてるうちに、家から聖のお母さんが出てきた。
お友達とも前に会ったことがあるようで、お久しぶりです〜なんて話してる。

家に入り、お母さんと向かい合って座る聖。
お母さんは食事も用意してくれた。お友達はその場にはいない。
程なくして、聖が切り出す。
「ごめんなさい。…ごめんなさいお母さん。学校、辞めることになった。
結婚も、たぶんもう無理。生徒を好きになったの」
お母さんは何も言えずにいる。
「一緒にいるところを見られて、もう居られなくなった」
お母さんがようやく口を開く。「そのこと…勝太郎さんは?」
「知ってる。」
「勝太郎さんさえ良ければ…結婚してもらいなさい」
「え…?」
「もし、許してもらえるなら、予定どおり結婚して、早く大阪行きなさい」
「でも私…」
「ほかに好きな人ができた?その子と一緒になるの?できないことないよ。
二人で駆け落ちして、聖が仕事見つけて、義務教育が終わるのを待つ。
向こうが18歳になったら、晴れて結婚。想像できる?
勝太郎さんは、全て分かって、それでも聖においでって言ってくれてる」
「そんな資格ないのに」ここで聖が静かに泣き出す。
「きっとうまく行くよ」
「とてもそんな」
「ううん。うまく行く。だって聖、一生感謝するよ。それが大事なの。
この人に借りがある。私の人生を変えてくれた恩人。そう思ったら、
結婚生活必ずうまく行く。勝太郎さんとなら幸せになれる。聖が幸せにするの」
このお母さん、目先の安定だけを考えて「結婚してもらいなさい」って言ったと
思ったけど、そうではなかった。
晶と一緒になる道は極めて実現性が低く、苦難の連続となりうることを
静かに説いていたのを聞いて、私は納得したよ。
これは娘への愛ゆえの助言なのだ。
娘がとんでもない報告をしても、取り乱してギャーギャー騒いだりせず、
娘が進むべき道を静かに示してくれた。
優しいお母さんである。

その頃、大阪では。
ジョギングを終えた勝太郎が帰宅すると、部屋の前で先輩女子が待っていた。
この人たちは同じマンションのご近所さん同士なんだよね。
先輩は勝太郎の部屋にやや強引に入り、食事を用意してくれた。
聖と晶の件でモヤモヤしまくってる勝太郎を見かねてのことだ。
「どう見ても、これから新婚生活始まる幸せな男の顔じゃない」(←否定の意です)
「幸せですよ」
「もういいから。あんたお得感の見てないふり、聞いてないふり、平気なふり。
強がらなくていいから。食べて寝て、元気出しな」
勝太郎が絞り出すような声で答える。
「相手、中学生ですよ…」
そして二人は、静かに食事を始めた。

まじで失望だよな、真面目で可愛い婚約者が男子中学生に恋して、花火大会の夜
二人で会ってイチャついてたなんて。
かと言って、おいそれと彼女を手放すのもなんか悔しいし。

その日の夜、実家から戻ってきた聖のもとに、勝太郎から電話が入る。
近いうちに、聖を迎えに行くとのこと。
「大阪で心機一転やり直せばいい。俺はいつでも聖の味方だから」

あら、お優しい。やっぱり聖のお母さんの言うとおり、勝太郎の心の広さに感謝して
結婚生活を開始するのが良いのかな。
聖は「ありがとう」と言ったきり、黙り込んだ。
聖の気持ちを汲んだように、勝太郎も黙った。
電話の後、聖は封書を郵便ポストへ投函しに行った。
宛先は、上司であるオバチャン先生。

別の日。
勝太郎は休みを取った。聖を大阪に連れて行くためだ。
聖の部屋には引っ越し屋さんが出入りして、勝太郎もその手伝いをしている。

ちょうどその頃、晶の家にクラスメイトの坊主くんが訪ねてきた。
「聖ちゃん、いなくなっちゃうぞ!!!」と坊主くんが叫ぶ。
聖の家の近くに引っ越し屋のトラックが来ているのを見て、晶に報告しに来たのだ。
「今日出て行っちゃうぞ。行けよ!行って会ってこいよ!俺、お前マジで尊敬してる。
まさか、聖ちゃんが振り向くなんて…確率、0パーセントだと思ってたから。
聖ちゃん、ぶん取って来いよ」
晶は勢いよく立ち上がり、部屋を出て階段を駆け下りる。
玄関で、お母さんが待ち構えていた。「どこ行く気?ダメよ」やっぱそうなるよねw
晶は強行突破を試みるが、お母さんががっちり掴んで離そうとしない。
「行ったらもう戻れなくなる!余計気持ちが高ぶって、その事しか考えられなくなる。
あんたの生活が、将来がめちゃくちゃになる」
「母さんには分からないよ!!」
「分かる!!!…私もそうだったから!来て、あんたに話してないことがある」
お母さんは、近くにあったお菓子の缶みたいなやつを手に取って、中身を床にぶちまけた。
中からは、手紙が大量に出てきた。出て行ったお父さんからの手紙だ!
それらの手紙の存在を、お母さんは晶に隠し続けてたの。その真相がついに明らかになる。

「父さん、あんたが5歳のときに出て行った。
仕事がうまく行かなくて離婚したって言ったけど…母さん、好きな人ができたの。
父さんが出て行った後、相談に乗ってくれた、父さんが作った家具買ってくれた
建築家の人で、一緒にいると楽しくて、夢中になって。
離婚して、あんたを連れて彼のところに行こうと思ってた。
でも彼にも家庭があって、結局どうにも…。
もう二度と立ち直れないと思ったけど、忘れるの。今どんなに強く思っても、
時間がたてば忘れる。
本当に、突然夢から目が覚める。絶対なんてないし、この人じゃなきゃダメなんて
こともない。ほんの一時だけなの。その時、どんなに後悔してもどうにもならないから。
取り返しのつかないことになるから、特にあんたの年齢…」
「一緒にすんな!!!!!そんな馬鹿みたいな話と…!!」
そう言って晶は家を飛び出した。


ほんと、一緒にすんなよな。
お母さんダメだわーwあわやゲス不倫じゃんwww
確かに今の晶の境遇は特殊ではあるが、お母さんの過去の道ならぬ恋の話とか聞きたくねーわw
まじ説得力ないわ。お母さん、その話しなきゃ良かったね。

その頃、聖の部屋の荷物はすべて運び出され、引っ越し屋のトラックが出発しようと
していた。
何もなくなった部屋に聖は一人で座って、勝太郎からもらった指輪を左手の薬指につけると、
ゆっくり立ち上がった。
ちょうど、勝太郎が部屋に入ってきて、聖を迎えに来た。
二人は、勝太郎の車で大阪へ向かう。

晶は必死に自転車を漕ぐ。
同じ頃、大阪の会社では、先輩女子がパソコンに向かって仕事をしていた。
が、ふとしたきっかけで、先日会った晶や勝太郎のことを思い出す。
仕事に戻ろうとするも、モヤモヤが消えない。
思わず「ああっ!!」と叫んで机に突っ伏す先輩。周りの同僚たちから軽く注目を集めるw
結局、先輩は勝太郎に電話をする。勝太郎はちょうど車に乗ろうとしていたところだった。
「本当にいいの?このままで」
「何ですか今度は」
先輩は静かに、時折強い口調で話した。
「…悔しいの。川合はね、もっといい男のはずなの。
ふんわかしてて抜けてるかと思えば案外頼れて、かと思えば天然で、
かと思えばわりと仕事もできる、魅力のある男なの。だから、あんたがいいの。
…好きなの。なのに川合、今のままじゃ二人を引き離そうとするただのつまらない男。
そんなの悔しいよ。あんたもわかってるでしょ。
会っちゃったの、あんたより好きな人に会っちゃったの聖ちゃんは」
「相手、中学生ですよ」
「そうだよ。だから離れたい、でも好きなのは彼。
あんたが幸せならいい、でもそうじゃないなら嫌」先輩は涙ぐんでいる。
「川合、もう一度聞く。いいの?このままで」
勝太郎は黙って電話を切った。
「いいんです、幸せです」と言い切れない彼の心中、お察しします。

勝太郎は車を出す。
しばらくして、自転車に乗った晶の前を、ちょうど勝太郎の車が通り過ぎる。
助手席に乗った聖の横顔を見て、晶は驚いた。
車の走っていく方と逆方向に自転車を走らせる。
 
同じ頃、職員室では聖から届いた手紙をオバチャン先生が黙って読んでいた。
手紙の内容は次のとおり。
「この度は、大変ご迷惑をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
たった1学期だけでしたが、教師として、皆様と過ごせましたこと、幸せに思います。
校舎に響く生徒の声が好きでした。教えることが好きでした。
生徒のために頑張る先生方を尊敬していました。
なのに自分から全てを台無しにしてしまって、本当に申し訳ありません」

職員室にいる別の先生たちが言う。「まさか、生徒に入れ込んでたなんて」
「向いてないですよね、この人」

オバチャン先生は、メガネを外して目頭をおさえた。「もっと、育ててあげたかった…」
聖の噂をしていた先生たちも、それを聞いて寂しそうな表情になった。
オバチャン先生、泣いていらっしゃる。
くせ者キャラだと思ってたけど、いい人だった( ;∀;)

晶は、高台にある公園?展望台?的な所にたどり着いた。
眼下の道路を、聖を乗せた勝太郎の車が走って行くのが見える。
晶は、車に追いつくよう近道をしながら自転車を走らせた。
聖は、勝太郎と会話することなく、静かに車に乗っていた。
ふとサイドミラーを見ると、自転車に乗った晶が車を追いかけてくるのが目に入った。
ハッとする聖。思わず後ろを振り返った。
晶が「先生!」と叫ぶ。
もちろん勝太郎も、晶の存在とそれに反応する聖に気がついている。
でも何も言わず、車のスピードを保ったまま運転を続ける。
晶は必死に車を追いかける。「先生!先生ー!!聖ちゃん!聖ちゃん!」
そのとき、何かにつまづいたのか、晶の自転車はバランスを崩し、転倒する。
晶は道路にゴロゴロ転がってしまい、顔に怪我をしてしまった。
それでも自転車を置いたまま、走って車を追いかける。
「聖ちゃん!!…決めたから、進路!そこで、大人になるから!!
だから…行かないで、待って!!!」
だんだん晶の姿が見えなくなる。

このシーンわりと泣けました。
主題歌も流れてめっちゃいい感じだった。

聖がようやく口を開く。
「勝太郎さん、停めて」
「いい、今は聞きたくない」
「いいから、停めて」
勝太郎は車を停める。
「……やっぱり一緒にはいけない。今のまま、このまま、勝太郎さんと
結婚することはできない」
「まさか…戻るつもりじゃ」
「彼とはもう二度と会わない。でも、こんな状態で一緒にいても、
勝太郎さんに甘えるだけで、今のままじゃ…」
ここで勝太郎が声を荒げる。「こんな状態って誰のせいだよ!!!
誰のせいで、こんなみっともない馬鹿げた状況に。俺がどれだけ…」
と言いかけた勝太郎は、聖を見て黙った。
聖のまなざしに、彼女の強い意志を感じたから。
聖は「ごめんなさい」と言って指輪を外すと、ダッシュボードにそれを置いた。
シートベルトを外して車を降りようとした瞬間、勝太郎が声をかけた。
「なら、この先一人になって、全部なくせばいい」最後の言葉それかよ。
まあそれ以上に適した言葉が見つからないけどwこの状況で男の立場からすれば。
聖は、来た道を歩いて戻った。
晶は、自転車を起こして、帰って行った。

晶「そして、聖ちゃんは消えた。この街から。僕の15の夏から……消えた」

「そして……僕は18になった」

物語は一気に3年後へ!!!



以上、第5話でした!

「ねえ、泣けるでしょ」「どう、ドラマティックでしょ?」という制作サイドの声が
聞こえて来そうな演出の数々、ありがとうございました。
2時間ドラマだったらこれで完結しても違和感ないほどだが、このドラマ、まだ第5話。
ようやく折り返し地点だ。
次回から3年後のお話なのね。晶は18歳。ほぼオ・ト・ナである。
聖と再会するんだろうか。どんな展開になるのか楽しみです。