モバ短投稿歌(2007年6月) | 睦美の短歌日記

モバ短投稿歌(2007年6月)

天使
■「やめなさい」ラブホの壁に描かれたちゃちな天使もそう言っている

椅子
■窓ぎわの椅子もあの日のまんま待つ 君のかたちにくぼんだままで

失恋
■優しさがとわのくびきとなりそうで怖い おそらく日を増すごとに

開ける、開く
■もう行くの?開けたまんまのドア隔て泣き出しそうだ空も私も

空から降るもの
■雨粒は空へと還る やり直しできない私を置き去りにして

ぬいぐるみ
■良き妻で良き母という着ぐるみを脱いでしまえばからっぽの我

輪廻
■来世では一緒になろう 今度こそ君を見つける罪負う前に

冷たいデザート
■すれちがう男の視線意識して舌を這わせるソフトクリーム


■滝つぼに住む鯉たちは今もなお竜になる夢こっそりと抱く

三十一文字
■また歌う 三十一文字じゃ足りなくて漏れる思いを紡ぎ繋いで


■約束はしない それでもまたいつか出会えるでしょう縁があるなら

草木
■砂漠化の進む地球の真ん中で汗だくになり雑草を抜く

冥王星
■どうだっていいよ地球のルールなど 冥王星は変わらず廻る

スランプ
■おさまりがつかず苦しい時はただ寝かせておこう 恋も短歌も

ストレス
■「ねえお酒飲みに行かへん?」「久しぶり。三年ぶりの失恋かいな?」

暴力
■手を上げたことの一度もない俺に「殴りたいなら殴れ」といつも

男性美
■ああごめん聞いてなかった 喉仏動くの見ながら欲情してた

はねる
■泥はねの染みある白いワンピース 君に似ていて捨てられずいる

小学生
■ただ一人、二年五組で男子からスカートめくりをされないあたし

白昼夢
■夢の中私は何に傷ついた? 寝汗にまみれ目覚めた真昼

忘れもの
■必要とされぬ孤独を知っている返しそびれて捨てられぬ鍵

化粧
■お化粧を二段階ほど薄くして過疎化の進む故郷へ帰る

舞台
■借り物の声も思想も脱ぎ捨ててパントマイムを踊る道化師

写真
■色褪せてゆく写真とはうらはらに鮮明となるあなたの記憶

憎しみ
■宿主を食い潰すまで肥え太る この憎しみはヒト寄生虫