ゆる橋 -40- 浦舟水道橋 | てくてく撮影日記

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投稿内容は写真を主体にしつつ、ブラブラさんぽしていて発見したことも、くまなくチェックしていきますよ。

舞台は横浜の中心街。

運河も多いのでたくさんの橋が架かる。













この橋の誕生は1893年。120年を超える今も現役である。

全国で現存するピントラス構造の橋としては、最古の部類。


少し見にくいが最後の写真にあるとおり、以前はもう少し下流の位置にかかっていたものを移設したものである。移設は2回行われている。


そのため、最古と言ってもこの場所にこの名称でかかっている時期はまだ20年程ということになる。しかし、移設に際して構造をそのまま流用しており、部材の追加や撤去は行われていないため、登場時からその姿は変わらない。

しかも現役の歩行者専用橋として使用されており、長い歴史を刻んだ橋である。


ピントラスとは、写真にもあるように、直線状の部材と部材を一本のピンを軸にして繋いでいる。部材は一本の棒状でしかないから、簡単な構造で強度を稼ぐ方法として昭和になる前まではよく見られた。

その後は車の大型化や交通量増大で強度向上や大型化を求められるようになると、ピン結合による構造では強度が不足してしまい、技術の進歩もあって、その後のトラス構造は溶接による部材結合になっていった。

ピントラスは、使用する部品点数が多く、メンテナンスに手間がかかるため、現在は急速に姿を消している。


高速道路で蓋をされた橋は都会ならではの光景。あの日本橋すらそうされたのだから、高度経済成長とは今とは異なった意味でものすごい変化の時代であったのだろう。

この狭い空間にそれぞれの構造物が譲り合うかのようにバランスよく配置されているのも日本の誇るべき建築技術。そう思うとこの光景もなんだか愛着が沸いてくるもの。


かながわの橋100選、横浜市歴史的建造物にも指定されている。


神奈川県横浜市南区

形式:平行弦プラットトラス(ピン結合)

橋長:24.3m

幅員:5.6m

竣工:1893年(明治26年)

(浦舟水道橋として現地移設は1989年(平成元年))