質問
1 工場労働でヘルメットは法令上必要ですか。
2 必要である場合に、夏場は暑いので、自転車で使っているような隙間の空いたタイプでもいいのでしょうか。
3 また、フォークリフトについてヘルメットは必要ですか。
回答(以下保護帽という)
1について
工場においては、物体の飛来、落下の危険があるとき(労働安全衛生規則538条、539条)が該当すると思料します。
2について
保護帽は、自転車で使っているような隙間の空いたタイプでもいいのでしょうか、について
保護帽については、労働安全衛生法第42条で、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を備えていなければならない斗あります。また、労働安全衛生法施行令第14条の二により型式検定を受けているものでなければなりません。「自転車で使っているような隙間の空いたタイプ」が、該当するかについては、個別事案としてメーカーに確認すべきと思料致します。
3について
フォークリフトについては法令上の要求事項ではありませんが、通達に記載があります(詳細は以下ご参照)
安全配慮義務違反として争われた事例があります
以下ご参考
1 保護帽についての法令上の要求について
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo27_1.html
職場の安全サイトでは次が掲示されています
保護帽
保護帽には、
[1]飛来物や落下物による危険から頭部を保護するための「飛来・落下物用」と、
[2]墜落などによる頭部の損傷を軽減するための「墜落時保護用」などがあります。
また、これらは、「保護帽の規格」(昭和50年労働省告示第66号)により、必要な構造、性能等が定められ、登録型式検定機関が行う型式検定を受けて合格したものでなければ、貸与したり、使用してはならないこととなっています。
保護帽の規格には、次のような項目が規定されています。
1. 保護帽の各部に使用する材料
2. 保護帽の構造
3. 保護帽の耐貫通性能
4. 性能試験に用いる人頭模型、試験用円錐型ストライカー及び試験用ジグ
5. 保護帽の衝撃吸収性能
6. 保護帽の表示
なお、保護帽を着用しなければならない作業には、例えば、次のようなものがあります。
1不整地運搬車の荷の積卸し(労働安全衛生規則151条の52)
2貨物自動車の荷の積卸し(労働安全衛生規則151条の74)
3ジャッキ式つり上げ機械を用いての荷のつり上げ、つり下げ等の作業(労働安全衛生規則194条の7)
4明り掘削の作業(労働安全衛生規則366条)
5採石作業(労働安全衛生規則412条)
6はいの上の作業(労働安全衛生規則435条)
7港湾荷役作業(労働安全衛生規則464条)
8造林等の作業(労働安全衛生規則484条)
9林業架線作業(労働安全衛生規則第516条)
10鋼橋の架設、解体、変更の作業(労働安全衛生規則517条の10)
11コンクリート工作物の解体、破壊の作業(労働安全衛生規則517条の19)
12コンクリート橋の架設、変更の作業(労働安全衛生規則517条の24)
13物体の飛来、落下の危険があるとき(労働安全衛生規則538条、539条)
以上のうち、工場労働では、「物体の飛来、落下の危険があるとき(労働安全衛生規則538条、539条)」が該当すると思料します。
おって、第538条の「作業のため物体が飛来する」については、次の条文が該当すると思料します。
3 フォークリフト作業のヘルメットについて
フォークリフトについて労働安全衛生規則をみますと、保護帽についての規定がありませんので、法令上は要求されていません。
なお、不整地運搬車については、次があります。
フォークリフトにはヘッドガードがあるから、と思料します。
フォークリフトに関する安全配慮義務違反の事例が、中労災野安全管理者選任時研修のテキストで紹介されています。
フォークリフト作業時の保護帽について、通達では次があります
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-28/hor1-28-6-1-0.htm
昭50.4.10 基発第218号
荷役、運搬機械の安全対策について
記の第1の3(9)
(9) 保護具の着用
関係労働者に、保護帽、安全靴等の保護具を着用させること。
フォークリフトには、
(労働安全衛生規則538条、539条)」が該当するかどうか。
不整地運搬車では、保護具が義務づけられています。一方、フォークリフトにはそのような規定がないのですが、このような場合に「一般則第538条」と捉えて、(フォークリフトのためだけの規則はないですが)フォークリフト無帽は違反、という所轄労働基準監督署長がいるかもしれません。
労基署に確認をお勧めします。
フォークリフトに、ヘルメットが必要の場合、
「飛来・落下物用」と、「墜落時保護用」
どちらを指導していますか。指導しているのなら、その根拠を示すべきであって、「わからないままヘルメットかぶれや」と指導していたら、チコちゃんに叱られるかもしれません。
2 保護帽のタイプ
保護帽は、自転車で使っているような隙間の空いたタイプでもいいのでしょうか、について
保護帽については、労働安全衛生法第42条で、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を備えていなければならないと、あります。また、労働安全衛生法施行令第14条の二により型式検定を受けているものでなければなりません。「自転車で使っているような隙間の空いたタイプ」が、該当するかについては、精神に標章の貼り付けがあるかどうかの確認や個別事案としてメーカーに確認すべきと思料致します。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74066000&dataType=0&pageNo=1
保護帽の規格
(昭和五十年九月八日)
(労働省告示第六十六号)
労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、保護帽の規格を次のように定め、昭和五十一年一月一日から適用する。
労働安全衛生法施行令
(型式検定を受けるべき機械等)
第十四条の二 法第四十四条の二第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
十二 保護帽(物体の飛来若しくは落下又は墜落による危険を防止するためのものに限る。)
保護帽の規格
(定義)
第一条 この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 帽体 着用者の頭部を覆う部品をいう。
二 着装体 ハンモック、ヘッドバンド、環ひも等により構成され、帽体に衝撃が加わつた際に着用者の頭部に加わる衝撃を緩和するために帽体の内部に取り付けられる部品をいう。
三 衝撃吸収ライナー 帽体に衝撃が加わつた際に着用者の頭部に加わる衝撃を緩和するために帽体の内部に取り付けられる部品をいう。
四 あごひも 帽体が着用者の頭部から脱落することを防止するための部品をいう。
(平三労告三九・一部改正)
(材料)
第二条 保護帽の各部に使用する材料は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるものでなければならない。
区分 |
材料 |
帽体 |
合成樹脂又は金属 |
着装体のハンモック及びヘッドバンド |
合成樹脂、合成繊維又は綿 |
あごひも |
合成樹脂、合成繊維、綿又は皮革 |
衝撃吸収ライナー |
発ぽうスチロール又はこれと同等以上の衝撃吸収性能を有するもの |
(平三労告三九・一部改正)
第三条 保護帽の各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 容易に腐食しないこと。
二 皮膚に障害を与えないこと。
三 使用の目的に適応した耐熱性、耐寒性及び耐水性を有すること。
(構造)
第四条 物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は、帽体、着装体及びあごひもを有し、かつ、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 着装体のヘッドバンドは、着用者の頭部に適合するように調節することができること。
二 着装体の環ひもは、環の大きさを調節できないこと。
三 帽体と着装体のヘッドバンドとの間げきは、五ミリメートル以上であること。
(平三労告三九・一部改正)
第五条 墜落による危険を防止するための保護帽は、帽体、衝撃吸収ライナー及びあごひもを有し、かつ、リベットその他の突出物が帽体の外面から六ミリメートル以上突出していないものでなければならない。
(平三労告三九・一部改正)
(耐貫通性能)
第六条 物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は、次の表の上欄に定める試験方法による試験を行つた場合に、同表の下欄に定める性能を有するものでなければならない。
中略
(表示)
第九条 保護帽は、見やすい箇所に次の事項が表示されているものでなければならない。
一 製造者名
二 製造年月
三 物体の飛来若しくは落下による危険を防止するためのものである旨又は墜落による危険を防止するためのものである旨
(平三労告三九・旧第八条繰下)
(特殊な構造の保護帽)
第十条 特殊な構造の保護帽で厚生労働省労働基準局長が第二条から第八条までの規定に適合するものと同等以上の性能を有すると認めたものについては、この告示の関係規定は、適用しない。
(平三労告三九・旧第九条繰下・一部改正、平一二労告一二〇・一部改正)
附 則 (平成三年六月五日労働省告示第三九号)
1 この告示は、平成三年八月一日から適用する。
2 平成三年八月一日において、現に製造している保護帽若しくは現に存する保護帽又は現に労働安全衛生法第四十四条の二第一項若しくは第二項の検定に合格している型式の保護帽(当該型式に係る型式検定合格証の有効期間内に製造し、又は輸入するものに限る。)の規格については、なお従前の例による。
改正文 (平成一一年九月三〇日労働省告示第一〇九号) 抄
平成十一年十月一日から適用する。
附 則 (平成一二年一二月二五日労働省告示第一二〇号) 抄
(適用期日)
第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から適用する。
附 則 (令和元年六月二八日厚生労働省告示第四八号) 抄
(適用期日)
1 この告示は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月一日)から適用する。
オートバイのヘルメットについて
ネットでは次の記事がありましたので、引用します。
https://helmethacker.com/kikaku/
ヘルメットの安全規格の話【PSC、SG、JIS、SNELL、DOT、EC、FIM、MFJ、SHARP】
消費生活用製品安全法という国が定める法律に基づいた規格。 経済産業省のページによると、(中略)つまりこの法律で指定された製品はPSCを取得していないと販売が出来ない。強制保険の自賠責保険と同じようなもの。このマークには「特定製品・特別特定製品」の二種類設定されており、主な違いとして
- 特定製品のは自分で検査して国に提出。
- 特別特定製品は第三者機関による検査が必要。
オートバイ用のヘルメットは特定製品にあたるので自分で検査し国に届出をすれば取得できるということ、とあります。
こちらは製品の安全性を認める任意の制度。SGはSafe(安全な) Goods(製品)の略。
このマークが付いている製品の欠陥により人身事故が起きた場合被害者に対して最高1億円の損害賠償が支払われる。国内で販売されているヘルメットは必ずと言っていいいほどPSCとSGがセットになっているので勘違いしている方も多いがあくまでもSGは任意で取得する規格。
125cc以下ののオートバイに乗ることを想定した検査 と 排気量制限なしのオートバイに乗ることを想定した検査と分かれているため、125cc以下用と排気量無制限の二種類が用意されている、とあります。
追記
安全靴はどうですか