面白い掌編集だった!

いろんな女性が主役になって、最後収斂していく、

好きなタイプの小説だった。

 

 

何者にもなれていない自分に焦りやら諦めやらを抱く、

さまざまな環境の、さまざまな年齢層の女性が印象的。

そして彼女らが、小さくとも一歩踏み出す。

 

 

「これって自分のこと?」

って思う登場人物が、誰しもいそうな感じ。

小説家ってすごいなぁって思っちゃった。

 

彼氏も友達もぜんぶ一緒くたにしたハイブリッドが、旦那って感じ。子供ができたらこういう関係も、変わっちゃうのかもしれないけど。(117頁「セ・ラ・ヴィ」)

 

私はこれ、見透かされてるのか?

と思ってしまったよ。

 

だから友達とかあんまり必要なくて。

ただ、こうして夫との世界で完結してしまうと……

「外の世界から切り離されていくような感覚」(118頁)

なるほど。

いま自分は会社員でかろうじて外界と接触はしているが、

(夢の)定年を迎えたら……?

 

 

「わたしはアナ」のおばあさん同士の友情羨ましい。

たしかに、夫はいつまで生きてるかわからんし、

依存先がひとつなのはよくないよな。

 

この夫に死なれたおばあさん主人公は、

人生を謳歌する女友達に影響され、

思うようになるのだ。

 

なにしろ平均寿命まで、時間はたっぷりある。もっと長く生きる可能性だってある。暇つぶしに病院に通うだけが高齢者の人生じゃないのだ。(69頁)

 

やはり持つべきものは仲間だ。

友達、作らねば。