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 昨日はヘールトヘン・トット・シント・ヤンスの作品「ロザリオの聖母」をご紹介しましたが、ヤンスのほかの宗教画をご紹介しましょう。


 写真1枚目は、「エッサイの木」です。画面中央下で寝ているのがエッサイです。彼の息子がダヴィデでイスラエルを統一するイスラエルの王となるのですが、寝ているエッサイの腰のところから木が生えてきてそこから12人のエッサイの子孫が木に座っているのです。そこで見たエッサイの夢は、自分の子孫から救世主が現れるというものです。中央部で竪琴を持っているのがダヴィデ。中央上部にマリアに抱かれた赤子がイエスになります。実はこの主題について書かれた宗教画を他に見た記憶がないのですが、なかなか賑やかで楽しい仕上がりになっている作品です。

 写真2枚目は、「東方三博士の礼拝」です。宗教画としては、ポピュラーな主題です。ヤンスはこの主題について何枚か描いています。イエスの誕生に際し、ペルシャの占星術師は、ユダヤの王の誕生を星に導かれイエスに贈り物を届ける場面です。ちなみに三博士とは、カスパール、バルタザール、メルキオールの三人。この三人がイエスに与えた贈り物とは、「黄金」これはイエスに対する王権に対する敬意。それに「乳香」これはイエスに対する神性への敬意。あとは、「没薬」これはイエスの死を暗示しているそうです。

 写真3枚目は、「ラザロの復活」です。亡くなって4日経ち石棺に葬られたラザロがイエスの興した奇跡によりラザロが息を吹き返します。ちなみにこのラザロの兄弟がマルタとマリア。この2人とキリストの主題をフェルメールが描いた作品がありますが、この夏日本で見ることができます。

 写真4枚目は「聖家族」です。なかなか美しい作品です。前方中央部紺の服を着た女性がマリア。もちろん彼女に抱かれているのがイエスになります。マリアの右手、豪華な衣装を着ているのがエリザベツ。マリアの従姉にあたる彼女が抱いているのが彼女の子供ヨハネになります。ヨハネは水でイエスを洗礼し、サロメの願いにより首を斬られてしまいます。マリアの隣の女性がマリアの母、アンナ。その後方にはマリアの夫ヨセフとアンナの夫ヨアキムの姿も見えます。残念ながら後方の題材が何を意味するかは勉強不足で分かっておりません。

 写真5枚目は「ヨハネ像」です。ヨハネは荒野で物思いに耽っています。牧歌的な風景ですが、実はヨハネは荒野で厳しい修行をしているのです。ヨハネに加え羊にも光が輝いているのは何故なのでしょうか。この羊にどのような意味があるのは私には分かりません。

 このように聖書の情報を得ながら宗教画を鑑賞すると、宗教画に対する見方もかわってくるのではないでしょうか。