ベルギー第二の都市アントワープ。

日本では救われない悲しい物語

 

の代表格『フランダースの

 

の舞台となった街として、

 

知られています。

主人公のネロとパトラッシュが

 

最期を迎えた場所が、

 

アントワープ聖母大聖堂です。

 



ここにはネロが憧れ続けた

 

ルーベンスの祭壇画があります。
 

横たわるネロとパトラッシュの元に

 

天使が舞い降り、天に召される

 

シーンは、涙を誘いますよね。

 

『フランダースの犬』は、19世紀に

 

イギリス人作家によって書かれた

 

童話ですが、日本での知名度とは

 

対照的に、ヨーロッパではほとんど

 

知られていません。なぜに

それは帝国争いの激しかった19世紀

 

という時代に、原作者の女性が、

 

ベルギーの風俗をイギリス人の目で、

 

偏見的に描いているからだとか。

ベルギー人の冷酷さ、過酷な労働、

 

犬に対しての酷い扱い、それらを

 

非難するように書かれた作品が、

 

物語の舞台となったベルギーは

 

もちろん、ヨーロッパで

 

受け入られるはずもありません。

この物語を読んだベルギーの人達は

 

「そのような不幸な少年に手を

 

差し伸べず、空腹で死なせるほど

 

ベルギー人は冷酷ではない。」

 

と批判的だったそうです。

またアニメでは、ネロは10歳

 

ですが、原作では15歳。

 

ネロは十分に自立すべき年齢

 

であり、15歳になっても運命に

 

翻弄されるだけで、生きる術を

 

見いだせなかったネロの

 

キャラクター設定もヨーロッパで、

 

受け入られなかった理由のようです。

ところが、遠く離れた日本で

 

アニメ化され、それを観た日本人が

 

「ネロが最期に観たルーベンスの

 

絵が観たい!」とアントーワープ

 

を訪れるわけです。

しかし、地元では無名の物語です

 

から、ルーベンスの絵を観ることは

 

できても『フランダースの犬』に

 

つわるものが何一つありません。


事情を知ったアントワープ観光局が

 

日本人観光客の要望に応えて、

 

1986年、ネロが暮らした村

 

ホーボケンに、ネロとパトラッシュ

 

の銅像を、また2003年、

 

アントワープ聖母大聖堂前に

 

記念碑(トヨタが寄贈)が

 

設置されました。


ところで、ヨーロッパの教会は、

 

一般的に無料の所が多いにも

 

かかわらず、アントワープ大聖堂

 

では、しっかり拝観料を取られます。


2015年1月時点で6ユーロ。高いです。


これも『フランダースの犬』の

 

影響でしょうか?

 

日本人観光客が増えたから?

 

なんて、無粋なことを考えて

 

しまいましたが、物語が作られた

 

当時から、高価な拝観料が必要

 

であったため、 貧しいネロは、

 

ルーベンスの絵を観たくても

 

観れなかったということだそうです。

そこには、作者の貧しい者が絵を

 

観られないことへの批判も

 

込められていたとか


物語を知らないフランス人の夫は、

 

フランダースの犬にまつわるもの

 

には目もくれず、私はネロと

 

パトラッシュの影を感じながら、

 

寒空の下、アントワープ

 

街歩きを楽しみました。

余談ですが、ハッピーエンドを好む

 

アメリカでは、出版関係者の意向

 

により、ネロとパトラッシュが

 

死なないストーリーに変えられて

 

いるそうです。

日本ではアニメの放送当時、
原作を

 

知っているファンの人たちから

 

「 ネロとパトラッシュを

 

死なせないで。」とたくさんの

 

投書が寄せられました。

製作側もかなり揉めたそうですが、

 

最終的には、原作を変えるのは

 

良くないということで、死を

 

もって終焉となりました。


原作にはない天使が、ネロと

 

パトラッシュを連れて、天に

 

召されるシーンを加えたのは、

 

熱心なクリスチャンであった当時の

 

スポンサーであるカルピス社長の

 

「死は終わりではなく天国への

 

凱旋」というイメージを基に

 

しているそうです。

悲しい結末ながらも彼らが

 

天国へ旅立ったという製作側の

 

配慮が感じられますね。

 

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