どこの国で暮らすにしても完璧な

 

居住空間を手に入れるのは

 

容易なことではありませんが、

 

フランス在住の友人たちとの

 

間で時々、アパルトマンの壁が

 

薄く、隣人の生活音が聞こえる

 

というような話題になります。

我が家は8階建て(日本でいう

 

9階建て)アパルトマンの7階

 

角部屋で、同じ階の住人の

 

生活音で悩まされることは

 

ありませんが、上階の住人の

 

足音が聞こえます。

真上に暮らす住人 K氏は

 

ちょっと変わり者の50代後半の

 

男性で、ひとり暮らしです。

床が薄いのか、それとも K氏の

 

足音が極端に大きいのか、

 

断言はできないものの、おそらく

 

足音が大きい人なのだと思います。

仕事に出かける様子がなく、

 

たまに買い物に出かけるところは

 

見かけますが、ほとんど

 

外出することがありません。

それなのに朝4時頃から起きて、

 

家中を歩き回るので、真下に

 

暮らす私たち夫婦の睡眠の障害

 

となり、正直なところ、

 

うんざりしていました。

そんなある日、K氏の足音が

 

聞こえないことに気付きました。

最初は気にも留めませんでしたが、

 

思い起こせば、かれこれ1ヶ月

 

ほど足音が聞こえません。

「旅行にでも出かけたのかな?」

 

と主人と話していました。

そして、ある朝、いつものように

 

私は窓際の椅子に座り、

 

お茶を飲んでいました。

我が家のアパルトマンの向かいの

 

ビルは、前面ガラス張りの鏡の

 

ようになっているため、アパルト

 

マンの全てが映し出されます。

なにげに窓の外に目をやると、





えーーーーーーーー





そこには信じられない光景が!

なんと、 うちのアパルトマンの

 

屋上に、SATのような特殊部隊 

 

の格好をした男性が数人いて、

 

そのうちの二人がワイヤーに

 

吊るされ、我が家の上階、K氏の

 

部屋に浸入しようとしているのです。
 
  イメージ画像 
GIGN

まー、その時の驚きと言ったら、

 

たまげた!なんてものでは

 

ありません。

のんびり気分で、お茶を

 

すすっておりましたが、

 

驚愕のあまり、むせて、

 

咳き込んでしまいましたもの。

落ち着きを取り戻して、と言っても

 

その光景を目にしてから、心臓が

 

バクバクしだして、落ち着いてなど

 

いられませんでしたが、主人は

 

仕事で家には私ひとりだけ

 

でしたので、私が見たことを

 

伝えるために、激写することに

 

いたしました。

震える手でカメラを手にし、

 

構えると、次の瞬間、ワイヤーに

 

吊るされたSAT隊員が、

 

鉄棒のようなもので、K氏の

 

部屋の窓を割りました。

ガラスの割れる音と共に

 

破片が飛び散り、

 

地上に落ちていきます。 ヒエ~  

そして強行突入。

 

SAT隊員がK氏の部屋に

 

入っていきます。



 ア、アカン    

 

 

 

これはただごとじゃない。 

頭の中で、さまざまな事が

 

駆け巡ります。

瞬間的にSAT隊員が、うちにも

 

やって来ると思いました。

ほどなくして、我が家の

 

呼び鈴が鳴りました。

 

驚愕の出来事 【後編】 へ続きます。

 

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