前記事のつづきになります。
営業三課のサーファー男性から次の土曜日に三課の男性数名とわたしの同期女子数名で京都の琴引浜までバーベキューをしに行こうとお誘いがありました。
意図はわからなかったのですが、立て続けの遊びの誘いに何か予感めいたことも感じていました。
当日、車3台、営業三課男性は課長も含め5名、同期女子は4名だったと思います。
その夜に起こることは出発の時からもうすでに始まっていました。
他の2台の車には7名が分乗していたのに、なぜかわたしは例の男性(以下、Mさんとします)の車に行きも帰りも2人っきりで乗ることになったのです。
うん、きっと乗ることになっていたのでしょうね。
2人とも無口な性格なのでおしゃべりは弾みませんでした。
飲み物を飲み込む音も呼吸する音もドキドキして変なふうに聴こえているのではないかと心臓は破裂しそうでした。
なのに時々見つめ合ったりして、言葉で確認することなくお互いの気持ちは通じ合ってしまったようでした。
琴引浜は鳴砂といって踏みしめるとキュッキュッと音がすることで有名です。
砂浜でのバーベキューは風が強くて食べ物に砂がかかり大変でした。
バーベキューの時は周囲に気づかれないように参加者とまんべんなく接することに徹し、課長が連れてきていたお子さんと遊ぶのに必死でした(精神年齢が・・・笑)。
夕方になる前に出発し、途中のドライブインで誰が誰を送ってという段取りを決めてそれぞれに帰路に着いたのです。
もちろんわたしはMさんの助手席に座りずっとふたりきりの時間はまだまだ続くのでした。
当時ひとりで暮らしていたマンションの部屋にMさんとふたりで入っていったのは、かけ引きもなく強引でもなく・・・ふたりきりの車中の空気感がすべてお膳立てしてくれていたようでした。
Mさんは既婚者ではないものの、職場のわたしの先輩社員の女性という婚約者がいる身・・・でもその婚約者はMさんのことより美容や髪のツヤ、ファッション、ブランドものなど、美意識の強すぎる女性だったので、なぜMさんがそんな女性と結婚するのかわかりませんでしたが、わたしはMさんが困るようなことはしたくなかったので、手料理でもてなしたりするようなことはしませんでした。
その日からMさんが結婚するまでは「結婚するまでのただの遊び」と思うことはできないほど幸せな毎日をわたしに与えてくれました。
会えるのは仕事帰りや平日の夜遅い時間、週末は結婚式の準備で婚約者とほぼ一緒に過ごされていたのだと思います。
たまに、営業三課に誰もいない時に内線電話があったり、テレビドラマでよくあった書類にメモをつけて渡したり・・・
そんな心踊る時間は結婚式まででした。
つづく
ではまた、ごきげんよう♡