生業として
人の生死に向き合って何年も経つけど
ひょっとしたら 日本人は
人の尊厳に対して未発達じゃないかと
思ってしまうことがある
死が日常的な職種ゆえかもだけど
その人が抱えるスピリチュアルな痛みに対して
サポートすべき事例を
見過ごしているのではないかと思うことが多い
長期入院、緊急入院
あるいは末期の方の
精神的、霊的な痛みに
どこまで力を注げているのか、、、
緩和ケアを提唱したシシリー ソンダースは、
人が抱える痛みを
身体的、精神的、社会的、霊的な要素に分類し
これらが互いに影響仕合いながら
苦しみを形成するとしている
また、キュブラーロスは
死の受容モデルを5つの段階に分け、
①否認と孤立②怒り③取引④抑うつ⑤受容
の経緯を辿ることを明らかにしているが
これは末期の人に限らず
多くの人がそれぞれの問題に対して
大なり小なり同じ経緯をとっているように思う
医療現場では、
痛みや倦怠感などの身体症状には
薬剤による症状コントロールを
経済的なサポートや仕事や学業などには
社会資源の提供支援がなされているが
不安や抑うつ
自責
疎外感
怒りなどの精神的な苦痛
生きる意味や自身の存在意義、
なぜ自分は人生において
こんな思いをしなくてはならないのかなどの
スピリチュアルな苦痛に関して
決して十分な支援があるとは言えない
これはもちろん、健康な人であっても同じ
サポートがいらないなんて人は一人もいない
健康な身体であったとしても
精神的 霊的にサポートを依頼できる場所は
実はそんなに多くはないのだ
家族や友達に相談できたとしても
人知れず悩むか 心に押し込む
また、あるいは
占いや即物的な癒しに
救いを求めることもあるのではないだろうか
もちろん、それが悪いのではなく
それで解放が起きることもある
でも、それだけでは片手落ち
問題とされる事象に向き合い
クリアリングしながら
現実を動かしていく必要があるんだよね
緩和ケアの場面では
ナラティブメディスンが用いられているけど
(ナラティブ メディスン:注釈下記)
一般の人が
これを受けられる場は少ないんだと思う
ナラティブ メディスン:物語医療学
内科医であり文学者でもある
リタ シャロン教授が
ハイデカーなどの現象学などを基に
提唱した新しい医療概念
患者にとっての病のストーリーが、
どんな意味を持ちどう感じているのか、
患者の視点で読み取り
全人的ケアを行うことを目的とする
人生は物語
共に語らい、
その人の人生を共体験として
共有することで生まれる連帯感
自分の人生に対する肯定感
新しい発見や癒し
それは時に宝物のように
心の玉手箱から溢れて沁みる
心身ともに安らいで生活する
そのために
わたしが手伝えることに取り組んでいきたい