ちょっと前なんですが、今月の東京行きの頃に読んでいたのが小川糸の「食堂かたつむり」。恋人にすべてを持ち去られ、自然豊かな故郷に戻って1日一組限定
の食堂を始めた倫子の物語。料理好きな女の子の多くがこういう店を持ちたいと憧れそうな話なのだろうと思って読み始めました。ま、ある程度予想通 りなんですが、その前に佐野洋子のリアルな世界に感服した せいか、年齢的にも佐野さんの半分くらいの作家が描く絵空事にちょっと苦笑。田舎町で暮らしてき た熊さんにカレーをリクエストされて、倫子はザクロカレーを作ることを思い立つ。まさか美味しいって言うんじゃないよね・・と思ったらやっぱり大成功なんだそう。何十年も喪に服している老婦人にマタタビカクテルだのサムゲタンスープだのカルパッチョだの、からすみのリゾットだの、子羊のローストだのをふるまったら全て平らげてくれたり。メニューはいちいち事前面接して、その人の印象や希望を聞いて考えるんだそう。つまりあくまで倫子のこだわりだけで話が進 んでいくワケです。で、読みながら、これはメルヘンではないかと。メルヘンならチューリップから女の子が生まれたり、王子様のキスでお姫様が眠りから覚めても、そんなアホな・・とは思わないもんね。そう思うと、名だたるレストランや料理学校で学んだこともなさそうな25歳の女性が、天才的な料理を作った り、初めてのブタの解体を難なくやり遂げても良いだろうし、25歳という設定も一途さを表現できる年齢としてアリかなと思えてきました。ブタの解体の描写に賛否両論あるんだそうですが、豚料理を食べてるなら「残酷だ」というのはちょっと変ですよね。素材を可能な限り使い切りたいという倫子に、食材を無駄にすることが多いモモ母、大いに反省しました。