佐野洋子の「私の猫たち許してほしい」を読みました。「覚えていない
」が面白かったから「役に立たない日々」も買っていたけど、元テレビディレクターOさ
んから「この一冊は是非お読み下さい」と渡されたので、こちらを先に読みました。佐野さんの本をたくさん読んでおられるOさんが「この一冊」と薦める理由
はどこに?というのも興味あったんですが、なるほど最初の「花は美しいのでしょうか」からやられました。「ばらはさわがしい花である」一つ一つがすさまじ
く自己主張し、くずれかかった花までも「私昔きれいだったの。こんなになったのは私のせいではないわ」と言っていると。端然としたたたずまいのしょうぶは
音もなく妖艶で、1本の静かさが2本になると2倍静か、花がおびただしくなればなるほど花畑がしんとし、静寂も深くなる。確かに煩い人にバラ好きはいても、しょうぶが好きというのは聞いたことがありません。そして最後は「祖国」と言う言葉の美しささと重さで結ぶ。佐野さんのすごさを巻頭から味わいまし
た。同じ地球にいても地球の動く速さは違って、それぞれの回り方をしているという「時は過ぎゆく」も興味深い内容でした。宮島達男さんの無数のデジタルカウンターがそれぞれのスピードで数字を刻む作品 を 思い出しました。ある雑誌に佐野さんが「天衣無縫に生きた」と書いてありました。確かに自然体ではあるけど、ちょっと正確ではない気がします。この本を読んで印象的だったのは「恥ずかしい」「申し訳ないような気がする」といった言葉が度々出てくること。繊細な感受性があればこその視点は、読む者の目も開か せてくれました。余談ですが帯に「猫本」とあるけど、猫の話は表題作くらい。猫好きが買ったらガッカリするかも。こういう売り方って、佐野さん嫌いなんじゃないでしょうか・・・??