ロザムンド・ピルチャーの「ロザムンドおばさんのお茶の時間」を読みました。「帰郷」や「九月に」を読んでみたいんですが、まずはお手軽な短編集から。イギリスの田園に暮らす人々の日常に起きる様々な出来事を契機にした心の変化が綴られています。これは紅茶を飲みながら、読みたかったんですよね。「アンの友達 」にも共通する善良で素朴な人たちの暮らしぶりですが、少年が主人公の「丘の上」は、温暖なプリンスエドワード島にない厳しさがあって、いかにもスコッ トランド在住の作家らしい。特に印象的だったのは最初の「雨あがりの花」と最後の「再会」。「雨上がりの花」の幼い頃を回想するミセス・ファークワの屋敷 への道のりと穏やかな未来を予感させる結末は、幕開けにふさわしい一遍でした。でも、全体としては作品の選び方の問題もあるのでしょうが、都会に暮らす派 手な女性より、故郷で幼い頃に兄妹のように過ごしてきた清楚な女性を選んだり、予定日より早い突然の出産が距離のあった2人を強く結びつけたりとモチーフがパターン化されてるのが残念でした。とは言え、変化を嫌いがちな田園の女性たちだけど、眼鏡をかけた少女が嫌っていたコンタクトを試してみようという気 になったり、長年住んだ屋敷から現代的な家に引っ越すことを決める老婦人など、自らの意志で新しい風を迎えようとする心境の変化は読む者を清々しくさせます。ただ、荒れてガサガサし、爪も割れた女性の手を美しいと男性が思うというくだりは、いかにも女性の作家が書いたものですね。世の男性の多くは、埃まみれになっても一人でやり遂げようとする化粧気のない女性より、流行の服を身にまとったすべすべの手の女性に頼られる方が好きでしょう・・・。