行けなくなった方から南座のチケットをいただいたので、2年ぶりに顔見世を観ました。京都の人は南座に「まねき」と呼ばれる顔見世に出演する役者の名前を書いた勘亭流の看板が上がると、年の瀬の訪れを実感します。モモ母はどちらかと言うと名場面集のような演目よりひとつの話を全部やってくれる「通し狂言」の方が好きなんですが、顔見世は豪華な顔ぶれの華やいだ雰囲気が良いんですよね。今年は2代目中村錦之助襲名披露で、「寿曽我対面」の途中で口上が入ったりしましたが、夜の部の見ものは何と言っても坂田藤十郎喜寿記念の「京鹿子娘道成寺」。これまで喜寿の年齢で踊った人はいないのだとか。娘道成寺は学生時代に歌舞伎座で観た玉三郎がそれはそれは素敵だったので、それ以上に良いと思えるものがなく、藤十郎も鴈治郎時代に観た時に「この人はやっぱり世話物のおかみさんが似合う人だ」と思ったのでした。なので、今年の劇評で褒めてるのを読んでも、ご祝儀で書いてるんだろうと思ってたんですが、いや、素晴らしかったです。喜寿とは思えない軽やかな身のこなし、娘を感じさせる動き、まさに「芸」を観せていただきました。最高齢で踊りきった舞台の客席にいることができて、幸せでした。