30数年前。
母が中学に入学したての中1のころ。
名簿順の席で、とある女の子と隣になった。
その子は穏やかな性格の子で、母はすぐに仲良くなった。
ある日、ふとその子の指先を見た時に、右中指の内側が深くえぐれてどす黒く変色していることに気がついた。
「えっ?これどうしたの?」
「あ、これ?ペンだこだよー」
妙にグロテスクな指先と、普段のニコニコ柔らかい雰囲気とが不釣り合いで、すごく驚いたことを覚えている。
他の子から聞いた話によると、その子は某大手中学受験塾で1番の成績だったらしい。
「〇〇さんの名前、みんな知ってたよ。初めて顔を見たとき『この人かー』って思った」
へえー。
隣の席の仲良し〇〇さんが、そんなすごい子だったとは知らなんだ。
あのペンだこが物語っているように、たくさん勉強してきたんだろうな。
あれは彼女の努力の証なんだな。
うちのあほんだら長女が、
「小テストの英単語覚えられない」
と朝からキレていたので、
「やっぱり英単語は書かないと覚えられないよね」
と言っておいた。
今はタブレット学習とかスマホのアプリとかもあって、それもまた使い方次第で有用とは思うが、
まったくペンだこのできていないわが家の娘たちのキレイな指を見ると、
あの〇〇さんのグロテスクな指先を思い出すのであった。