4月8日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は8日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表し、米経済の今年と来年の成長加速に支えられ、世界経済はブラジルやロシアなどを含む新興国の景気回復鈍化の影響に耐えることができるとの予測を示した。
IMFは、日本と欧州の景気の弱さを背景に、依然として足取りの重い世界経済に対し、米国が「主要な刺激」を与えていると指摘。さらに、英国とドイツが勢いに弾みをつけている半面、新興国は新たなリスクに直面していると分析した。ロシアによる先月のクリミア編入は地政学的緊張を招き、同地域に暗い影を投げ掛けていると付け加えた。
新興国に対しては、先進国への資本還流に備えるよう呼び掛けた一方、欧州中央銀行(ECB)にはデフレ阻止のため追加的な金融緩和策が今、必要だと助言。米国に関しては、米連邦準備制度のより長期間にわたる低金利政策や旺盛な民需、昨年の成長鈍化の要因だった財政面の重しがなくなったことが恩恵をもたらすと予想した。
IMFのオリビエ・ブランシャール調査局長(主任エコノミスト)はWEO公表に当たり、米国では「ブレーキの大部分が消えた」と述べ、「米国の回復は先進国で最も力強く、この点では米国が世界を引っ張っている」との認識を示した。
IMFは今回、2014年の世界経済の成長率見通しを3.6%と、1月時点の予想(3.7%)から下方修正する一方、15年については3.9%に加速するとの見通しを据え置いた。
先進国
WEOでは「世界の経済活動は概して強く、14-15年にさらに上向く見通しだ。その推進力の大部分は先進国によるものだ」とした上で、「多数の新興国の経済活動はあまり好ましくない外的金融環境の中で期待外れの状況だ」と記した。
日本の今年の成長率予想は1.4%と、1月時点の予想から0.3ポイント下方修正し、消費税率引き上げが成長を鈍らせる要因になると指摘した。
米国の実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは14年が2.8%、15年を3%と、1月時点の予測を据え置いた。昨年の米GDPは1.9%増だった。IMFは米量的緩和が年内に終了し、利上げ開始時期を15年7-9月(第3四半期)と想定している。
IMFはブラジルやロシア、南アフリカ共和国、トルコの予想を下方修正し、「憂慮すべき展開」と指摘。ブラジルの今年の成長率予想を1.8%(1月時点は2.3%)、南アは2.3%(同2.8%)、ロシアは1.3%(同2%)にそれぞれ引き下げた。ロシアについては、米国や欧州連合(EU)の制裁が強化されれば、独立国家共同体(CIS)に悪影響が広がると予想した。
IMFはまた、ユーロ圏の金融当局に対し、「インフレ率が予想をなおも下回る深刻なリスク」があり、成長維持と物価安定目標の達成に向けて非標準的措置を活用する必要があると論評。「予想インフレ率はさらに低下するかもしれず」、実質金利の上昇や債務負担の増大、成長鈍化につながりかねないとして、取り得る対応策として利下げや「ややマイナス」の中銀預金金利、長期リファイナンスオペ(LTRO)などの措置に言及した。
デフレリスク
IMFはユーロ圏の年末までのデフレリスクを20%と予想した上で、今年の成長率予想を1.2%(1月時点は1%)に上方修正した。スペインとフランス、ドイツの今年の予想は1月時点の数値からいずれも引き上げた。
英国の今年の成長率予想は2.9%(同2.4%)、来年は2.5%(同2.2%)に上方修正したものの、英国の回復は「不安定」との認識を示した。