70年代の日本アニメ界というのは、まさに疾風怒濤の時代だったなあと思う。
 様々な天才英才がひしめき、複雑に絡み合いさながら戦国時代のようだった。
 今は作画レベルこそ当時に比べると高いと思うが、演出レベルなどは当時の方が(トップクラスはだが)高いと思わざるを得ない。
 またレベルの低い人間はそれなりにやっていけるという意味でも混沌とした時代だった。
 ああいう時代はもう帰っては来ないと思われる。
 80年代以降は宮崎駿の一人勝ち時代だったと思われる。
 90年代、あの4人よりも優れた才能を持つと思われた、佐藤順一と幾原邦彦の登場があったが、幾原邦彦は10年以上にわたり沈黙し、佐藤順一は便利屋のようになってしまった。
 富野喜幸(由悠季)は巨大ロボットもののジャンルそのものを改変し、経済的な安定も得たが、そこで力尽きてしまった。
 出崎統は便利屋になってしまった。
 企画の自由から経済的裏付けまでを得たのは宮崎駿と高畑勲の二人だけだった。