以前はそうは思われていなかった。

 中国は平和国家として国際社会の一角を占めるつもりなのだと思われていた。

 中国はチベット問題などを抱えていたが、国際社会は過去の問題ととらえていたわけだ。

 しかし鄧小平は中国は、アメリカや日本から吸収できるものを吸収するまでは、おとなしくするように言っていた。つまり、彼自身も、未来永劫おとなしくするつもりなど毛頭なかったわけだ。

 そして中国は、中国がGDP世界二位になった段階で、猫をかぶるのをやめた。

 しかしこれはいささか早計だったと言わねばならない。

 経済力だけ大きくなったが、それを支える技術水準がまるっきりなのだ。

 中国は「世界の工場」等と言われるが、その実、世界の下請け工場に過ぎない。

 工業力を支える技術力がない国が、いくら生産量だけ大きくなってもどうしようもないわけだ。

 少なくともノーベル賞受賞者をコンスタントに出すぐらいまでは、我慢すべきだったのだろう。