人間は他の生物を殺して食わねば生きられない。

 動物だけではなく、植物も生物なのだ。

 だからベジタリアンなどと言っても、他の生物を殺して生きていることに変わりは無い。

 ましてや鯨を食わないからと、自分たちがこの「罪」から逃れているなどと言うのはばかげた妄想でしかない。

 これは人間の、あるいは生物の「原罪」と言っても良いことだろう。

 江戸時代、日本人は四つ足の獣を食わないという、ベジタリアン的慣習を国民全部に行き渡らした。

 しかし、それは日本人の健康を害し、しかも完全にはほど遠い「疑似ベジタリアン」でしかなかった。

 だから日本人は供養という概念を生み出した。

 「いただきます」「ごちそうさまでした」というのは、その身を捧げてくれた食材たちへの供養の言葉に他ならない。

 「原罪」を否定するのではなく、その罪を受け入れて、供養する。

 この供養の概念こそ、世界中に広めるべき日本の良き慣習だと言えるだろう。