その難攻不落の小惑星要塞の落とし方を考えてみよう。

 その前に、前提として攻撃側は防御側の数倍の兵力を持っているということである。

 古来より攻撃側は防御側の3倍以上の兵力を持っていなければならないということは軍事上の常識である。

 もし防御側と同じくらいの戦力で勝てると思う軍略家がいたら、馬鹿か天才かのどちらかである。(そしておそらくは馬鹿だ)

 まあ孫子の兵法に注釈した曹操は、「俺は籠城した呂布を二倍の兵力で破った」と書いているが。

 まず圧倒的な兵力で護衛艦隊を撃破した攻撃側(これが出来なければそもそも話にならない)は、遠隔からの砲撃で要塞の要塞砲や対空砲を破壊する。

 特に上陸予定地点の周辺は念入りに破壊する。

 ついで「上陸」部隊を送り込む。

 揚陸艦に無理やり小惑星表面に突っ込ませ、搭載した「陸上」部隊を展開する。小惑星部隊と呼ぶべきか。

 もちろんそれに戦車などは無い。小惑星上ではキャタピラや車輪が空回りするだけだからだ。

 ここで小惑星要塞攻略用兵器としての人型メカが生きてくる。

 手足により、小惑星表面に捕まり、あるいは足で蹴って進むことが出来るため推進剤を消耗せず、また隠密裏に接近できる。

 小惑星表面を移動できるように設計された一種の宇宙船「上陸用舟艇」も使えるだろうが、ロケットエンジンで移動するため防御側に位置を悟られやすく、目立つ船はかなり危険である。

 ハエの足のようなものをつけて移動する船があれば、かなり安全と思われるが。

 こうして艦隊からの援護射撃を受けつつ、小惑星内部への入り口に集まり、抵抗を排除しながら扉に達し、そこで扉破壊兵器を使う。

 巨大なアセチレントーチのようなものなどである。

 扉の破壊後は、内部に向かう。要塞内部での戦いは艦隊からの援護砲撃が無く、上陸部隊のみの火力で戦うことになる。
 そのため人間の部隊のみが突入しても成功は困難だと思われる。

 重火器を装備した大型の人型メカは要塞内部の環境で縦横無尽に活動できる。

 こうして重要施設を潰していき、最終的に要塞を占領する。

 かくして小惑星要塞攻略戦は成功することになる。

 内部に突入する部隊がなければ、この数倍困難な闘いになることは想像に難くない。

 人型メカの有効性である。

 小惑星要塞攻略戦だけを考えれば昆虫型などでも良いが、その後の宇宙戦闘なども考えるなら人型が一番有効と推定される。

 元々孫子の兵法では攻城は下策とされる。小惑星要塞攻略戦は、敵味方ともに莫大な損害を出すことになるだろうが、これをやり遂げねば戦況は動かないだろう。