言うまでもなく、この制度はまだ太陽電池のコストが他の発電方式に比べて割高な時期に、その差額を一般利用者が補う制度だが、予想外の太陽電池コスト低下のためにおいしい儲け話になってしまい、爆発的な事業者の参入をもたらしてしまった。

 このためにコストの高い太陽発電システムが大量に出来てしまった。

 このコストの高さは人為的なコストの高さである。自然に任せていればもう太陽電池は自立できるだけのコストになっていたのだが。

 皮肉な話だが、太陽電池の普及のために始めた制度が、かえってマイナスになってしまっているのである。

 これによるマイナスは太陽電池のコストが他の燃料よりも安くなった後も、10年か20年続くことになる。

 この面だけで考えると、本当に馬鹿なことをしてしまったものである。

 しかしながら、太陽光発電は二酸化炭素の排出も、熱の排出もないクリーンなエネルギーである。

 そしてこの二酸化炭素問題が、現代世界の大問題になっていることは言うまでもなく、日本はこの問題の解決を図らねばならない。

 太陽光発電にかかった余計な初期コストは、この二酸化炭素問題解決のためのコストとして認識するのが正しいだろう。

 どっちみちあくまで高価格時代のコストは太陽電池の低価格化のために、固定価格買い取り制度の改善後(それがどういうものになるのか不明だが)はかからなくなることは間違いないのだから。

 二酸化炭素問題を解決するためのコストとするならば、一般利用者からその費用を徴収する方法ではなく、税金によって補うべきだろうと私は考える。

 それはそれで反発がくるだろうが、仕方がない。

 あのときああすれば良かったなどというのは、しょせん後知恵にすぎないのだから。