中国は共産党が支配する、つまりは左翼国家である。

 左翼思想は19世紀に生まれ、20世紀前半に世界を席巻した思想だ。

 資本主義の欠陥を正し、人類に平和と平等をもたらすということで、格差の激しい資本主義に疲れていた世界を魅了したことは判る。

 しかし20世紀後半、現実に成立した共産主義国家の、その理想とは裏腹な実態が明らかになってきた。

 共産党員が新たな支配階級になり、一般国民を搾取する実態。

 格差がないなんて大嘘だった。

 そして粛正という名の大量殺戮。

 経済的な平等が守られないだけでなく、命すら奪われるという最悪の政治。

 そして戦争がないなんて大嘘であり、事実は右翼国家以上の軍国主義であり、自らに反抗する国は軍事力で押しつぶす最悪の軍事国家なことが明らかになった。

 左翼思想家が約束したユートピアは、全くの空手形だった。

 20世紀後半、様々な事件によりそれは明らかになり、そして共産主義の中心だったソ連が崩壊し左翼思想の歴史は終わった・・・はずだった。

 どっこい、共産主義国家が一つ残っていた。

 中国である。

 中国もまた、毛沢東指導の下で、中国人民を何千万も殺した粛正や経済的な崩壊による餓死などを起こしていた。

 にもかかわらず、経済規模が小さかったことのためか世界の注目をあまり浴びなかった。

 そしてソ連崩壊後、資本主義世界に膝を屈するかのように思えた改革を行い、経済的な利益のみならず、資本主義世界の信頼を勝ち得た。

 天安門事件など、中国の実態を示す事実はいろいろあったにもかかわらず、そのように信頼したのは、もう東西対立は終わったと思いたい西側世界の願望だったのだろうか。

 特に日米の援助の元で中国は急速に発展した。

 日米は、中国の経済的発展は民主化をもたらすだろうと期待した。

 しかし、中国の経済的発展がもたらしたのは軍事費の急速な上昇であり、それを背景にした周辺国家に対する侵略だった。

 そしてついに尖閣問題をきっかけに日中対立が始まった。

 こういう状況にもかかわらず、未だに左翼思想を絶対善だと信じてやまない手合いが世界中にいる。

 ニューヨークタイムズなどの「高級紙」は今や中国の代弁機関である。

 日本のマスコミは言うに及ばず。

 実力で言えば、中国は、西側諸国にとうていかなわないにもかかわらず、西側諸国の言論に食い入り、また移民によって政治的にも食い込んでいるこの状況を見ると、不安を感じざるを得ない。

 中国が世界を征服するというのは、ほぼ不可能と思いながらもまったく可能性がないわけでもない。

 中国は超格差社会であり、超公害社会であり、超軍国社会でもある。

 こんな国が世界征服とは言わずとも今のアメリカのような立場になるだけでもおぞましいことと言わざるを得ないだろう。