さて、中国である。

 日清戦争で日本と中国(清)は戦った。

 このとき中国は莫大な賠償金と、朝鮮を取られている。

 その後、中華民国時代を経て日中戦争で再びぶつかり、そして中国は満州を取られたわけである。

 戦後、中華人民共和国が大陸の政権を取り、戦後の冷戦体制下で東側となった。

 つまり中国は西側諸国の敵となったわけである。

 もちろん日本も含めてである。

 百年以上にわたり日本と中国の関係はほとんど「敵国」だったのである。

 その後、東側諸国の崩壊、中国の開放政策を通じていつの間にか、日本の大衆は中国が東側であることを忘れてしまっていた。

 天安門事件を見ても判るように、中国共産党に中国の支配権を明け渡す気などみじんもないにも関わらずにである。

 改革開放が進み、中国人が豊かになれば自然と民主主義を要求するようになり、黙っていても中国は西側に下ると思っていた。

 その判断が正しいかどうかは未だに不明である。

 尖閣諸島事件は、未だ中国は「敵国」のままであるということを世界に知らしめた。

 中国共産党は、中国の手綱をしっかりと握っており、未だに西側に降伏などしていないのである。

 現在のところの日中関係は「敵国」の割には非常によいというべきだろう。