以前、オランダ人はインドネシアについて日本人に恨みをもっていると聞いたことがある。

 もちろんそうだろうな。

 数百年、アジアはヨーロッパの支配下で苦しめられていたという。

 しかし逆に言えば、何百年もかけてアジアに利権を築いたヨーロッパ人(それが苦労なしで出来たはずがない)が、そこから追われたわけだ。

 それは満州や台湾、朝鮮から追われた日本人以上にそのことに恨みをもったとしても不思議ではない。というか、当然だろうと思う。

 だから日本も植民地を放棄した。

 同じ植民地を失った宗主国としての痛みを共有したわけだ。

 ヨーロッパ人は、植民地の独立は、歴史の必然であり、正しいことであると理解しているようだ。

 しかし、それと自分の苦労体験に対して思う感情は別であろう。

 日本はヨーロッパに恨まれて当然であったのだ。

 だから戦後の日本人は、できるだけ欧米人の反感を買わないやり方を心がけていたのだろう。

 しかしヨーロッパ人の記憶から植民地時代の栄華は遠くなり、そしてアジア諸国も豊かになってきた。

 世界は新たな段階に入ってきたのである。

 そこに日本人の新たな役割が求められていると考えられるだろう。