「けいおん!」をおたくのためのアニメと断定して切り捨てようとする輩が少なくないが、そういう人間は音楽が好きではないのだろうという気がする。

 音楽と言ってももちろんアニソンとかだけを聞くという「アニメファン」にありがちなものではなく、ビートルズに代表されるポピュラーミュージックが好きで聴いている「アニメファン」はどのくらいいるのだろう?

 結構少ないように思う。

 特にアニメ好きではないが、音楽は好きという者たちが「けいおん!」ファンには多いように思える。

 さらに言うならば、音楽モノとしても「けいおん!」は先進的である。

 男女平等は普通になっている現代においても、ロックは「男の音楽」であり「オンナコドモ」は触るんじゃあない!という意識が強い。

 先進的な音楽だと思いたがるロックの後進性である。

 音楽モノのマンガはいくつもあるが、女性のみで構成されたバンドが主役という作品は寡聞にして聞いたことがない。

 「けいおん!」にはそういう「後進性」が全く見られないのである。

 それを可能にしたのは女子校という設定である。

 これが共学で、部内に男がいると女子はそれに一歩引いた形になってしまいやすいのである。

 大学編で共学校出身の軽音部員が、高校時代、男子部員を意識せざるを得なかったことが描かれているが、唯達も共学ならそうだったろう。

 「けいおん!」をきっかけにしてバンドを始めた女の子達も少なくない。

 「けいおん!」は女の子がバンドを組んでロックすることはこんなに楽しい!と満天下に訴え、そして大きな賛意を持って迎えられたのである。

 「けいおん!」は日本の音楽文化そのものを大きく変えているのである。

 これほどの影響力を持つ偉大な作品を、無理矢理「おたく向け」のレッテルを貼って貶めようとする連中は単に愚かなのか、それとも他に何かあるのか、と思う。

 「けいおん!」は日本音楽史上、特筆すべき偉大な作品である。