「美少女戦士セーラームーン」は栄光の大ヒット作であると共に、色々と不幸な面のある作品だった。

 原作のセーラームーンは「なかよし」という伝統ある、比較的低年齢向けの少女マンガ雑誌に連載された作品であり、その面から言っても、王道の少女マンガである。

 しかし、本来の支持層である少女達に圧倒的な人気だったにも関わらず、少女マンガ慣れしていない男性層によって不当に貶められていた。

 当時、おたく連中はこの史上空前の大ヒット作がヒットしたのは、アニメでファンになった男のおたく層が支持したからだと主張していた。

 事実は全く違う。

 たしかに男性ファン層も少なからずいたが、圧倒的多数は少女層だったのである。

 当時、女の子達にどれほど人気だったかについてはいろいろと逸話がある。

 例えば「セラムンごっこ」が女の子達の間でブームになっていたとかそういうことである。

 しかし、当時のネット(当時はネットとはパソコン通信のことだったが)の大多数を占めていた男達によって、この作品はおたく向け作品の烙印を押されてしまった。

 少女達の声がネットに反映されることはほとんど無かった。

 そのイメージは、この作品の評価の足を思いっきり引っ張っていた。