GOSICK。この作品は分類が難しい作品だ。

 一般的にはミステリーとされているが、難解な事件のあっと言うような解決を目的とするいわゆる本格ミステリを期待していると肩すかしを食う。

 そのため、GOSICK駄作論がまかり通ることになる。

 ではGOSICKとは何なのだ?

 おそらくは、ヨーロッパにおける犯罪史を描いたものだろう。

 それも権力者による犯罪である。

 第一巻では、国家による占いのため犠牲にされた孤児の少年少女達の復讐だった。

 第2巻はちょっと違い、犯罪者の烙印を押されたヴィクトリカの母の事件の真相だった。

 第3巻は、人身売買である。

 これは冗談ではなく、現在でも人身売買組織は暗躍している。

 特にヨーロッパ人の少女は高く売れるのは事実だ。

 東側崩壊のどさくさ時には大量の人身売買が行われたという話も聞く。

 ちょうどアナスタシアがロシア帝国崩壊の犠牲者であるように。

 第4巻は、ヨーロッパに踏みにじられたアフリカ人による、錬金術を騙り、ヨーロッパ宗主国の政治に入り込もうとした物語である。

 第5、6巻はついに今まで数々の事件を解決してきたヴィクトリカの身に事件が降りかかる。

 第7巻は、国王による犯罪である。

 以上のようにGOSICKの事件は政治がらみの事件が多いのである。

 事件としては単純でも、政治が絡むために複雑化する。

 ヴィクトリカの知恵の泉は、そのはるか過去や遠距離の事件を解き明かす。

 そこにヨーロッパの闇が見える。

 それがこのシリーズの醍醐味であるのだろう。

 まあ、もちろんヴィクトリカかわいい!!も本作の醍醐味ではあるが。