「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書) 」という本を読みました。

 一言で言えば、かなり「目から鱗が落ちる」本でしたね。

 まあ、私があまり農業に関心を持っていないために知らなかったということもあるだろうけれど、国が強調する「日本農業は弱く、保護しないと生きていけない」とか、「日本の自給率41%は世界最低」とか言うのが嘘っぱちであることがよくわかる本でした。

 まず、自給率の計算がカロリーベースであるということ。このことすら知りませんでした。そのため、低カロリーな野菜や果物といった高付加価値の農産物生産が自給率向上に役に立っていない。

 さらに一人あたりの消費カロリーを2,473キロカロリーとして計算している。農水省は日本人を総メタボにしたいのか?

 まっとうな数字で計算すると、カロリーベースでも自給率は56%にもなるそうだ。

 しかも数多い自給自足農家などの市場に出てこない供給分は計算に入っていないとのことだ。おそらくそれで計算すると60%は軽く超すだろう。

 金額ベースでの自給率で言えば、66%に達し、驚く無かれ、これは世界第3位の数字だそうである。(1位アメリカ、2位フランス)

 そもそも、世界では自給率向上などを国策にしているところは無いのだそうだ。自由貿易によって広く食料の輸出入を行うことが食糧安保になるという考えなのだそうである。

 そうすると、日本は馬鹿なことをしているということになる。

 この本によると、それは農水省の権益確保と失業対策のためにそのような馬鹿なことが行われているということだそうだ。

 正直言って、ここいらへんのくだりがちょっと眉につばつけたくなったことは確かです。本当にそこまで悪どいのか?私に農業関係の公務員の知り合いはいないが、水産関係の公務員ならいる。
 仕事はきつく危険であり、その割に給料は安いという印象がある。

 しかし、それは外国と直接接触しなければならない水産関係だからそうであり、農業はこの著者が言うとおりであると考えることはできる。

 どちらにせよ、この本は日本の農業政策に大きな波紋を与えたことは確かだろう。

 そういう意味において、良書であると言って良いと思われます。