第一章 亀裂
こいつは、はっきり言ってムカつく。
昔の頃よりたちが悪い。
あいつが言った言葉で亀裂がはいった。
「確かに……そういう考えもあるが、俺はお前が本心で言ったとは思えない。」
そうだ。
こいつは1人で抱え込む奴じゃない。
何かしら理由があるはずだ。
「はっ、笑わせるな。たとえ本心ではなくても僕とお前なんの関係がある?」
「お前の身に何が起きた?」
「お前には関係ない。」
頑固な奴。
確かに関係ない。だけど俺はお前の力になりたい。
だけど、今の紫月は苦手だ。
俺と紫月が睨み合っている間、
何かと良くない事を考えている結希。
そして何故か何も教えてくれない紫月。
それを見てニカッと歯をこれでもかと見せる勢いでにっこりと笑いながらこちらを伺うじっちゃん。
さてと、この宿は賑やかになるな。